◎渡辺くんはいつも不機嫌

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『ど、どういう事？』


友達「いや、体育祭の前辺りから距離縮まってるなぁとは思ってたんだけど…体育祭の"アレ"見たら、ねぇ」


『…"アレ"？』




『借り物競走』と言われ、ハッとする。…そういえば私、渡辺くんにおんぶされて保健室に連れて行って貰ったんだっけ………。



思い出しては罪悪感と羞恥心に襲われる。それに、定期的に思い出してしまうのは借り物競走のお題の紙切れだった。渡辺くんのもそうなんだけど、




友達「あ、後そういえば…深澤くんともいつの間にか仲良くなってたんだね」


『う、うん。なんか、いつの間にね…』


友達「他人事だなぁ。深澤渡辺コンビと仲良いって相当凄いことなんだからね？」


『そう、なんだよね…よくよく考えてみたら』




深澤くんはバスケ部の部長で後輩支持率ナンバーワンらしい。確かに優しいし、話してると落ち着くし、後輩の女の子からモテそうだなぁ。



渡辺くんとは同じクラスになってからよく告白されてるって話を聞くし、実際に告白現場も見てるわけだし………




友達「Aはどっち派？」


『はい？』


友達「深澤派か渡辺派か！」


『何それ……なんか二人に失礼じゃない…？』


友達「私は深澤派かなぁ。深澤くんの方が優しそうだし、」


『聞いてないし……』




こんな話、渡辺くんに聞かれたらまずいんじゃ。そう思ったけど渡辺くんは未だに顔を伏せているから眠っているんだろう。



担任が教室にやってきて、友達は慌てて自分の席へと戻って行く。高校生活最後の体育祭が終わりクラスの雰囲気は落ち着いているけど、何かが起こりそうな気がしてならなかった。






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