とある大型犬とそのマスター (ページ39)

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「ヌナのことが好きだから……かな？」

突然私の目を見つめられて、こう彼から言われた

何を言われたのかが中々理解できずこの瞬間だけ時がとまったかのように感じた

そして、まるでこの世界に生きている人は私たち2人だけになったかのように

パニックになっていたが一周回って冷静になってきた気がする

そういえば、好きという言葉の意味とはなんだったっけ？

私がまだ学生だったころ調べたことがあったのを思い出した

確かそこには

・心惹かれること
・気に入ることなどが書かれていた気がする

一体彼はどのような意図でこの言葉を使ったのだろう

いつもCarat愛してるよ〜などと職業柄(？)言っているからその延長かもしれない

勝手に私が勘違いしてはいけないんだ

「ふふっㅎㅎもう、やだなぁ〜ミンギュ！冗談きついってー！！」

神妙になりはじめた空気を無くしたくてわざとらしく明るい口調で言葉を投げ返す

「いや、冗談じゃないんだけど」

しかし今の私の行動は意味がないことを真剣な目つきで未だに私を見つめてくるミンギュによって知らされる

こんなに一生懸命伝えてくれるその気持ちはとても嬉しい…だけど

「ごめん、ミンギュ…」

本当にごめんねミンギュ…私に今のあなたと一緒に居られるような資格は無い

これからも世界に羽ばたいていくあなたの足かせに私はなりたくなんかない

「今までありがとね」

「えっヌナ？っ」

ミンギュに伝えてもらってやっぱり思った

この関係は良くないんだってことを

私はただのファンなのだ

アイドルとファンの関係で十分な人間なんだよ

言葉が出ない様子の彼をよそに

私は素早く荷物をまとめて部屋を出た

さっき貰ったアイマスクを置いていかなかったのは私の中の未練なのかもしれない

「……っ……うぅ…ご……ん……ごめんねっ」」

彼の部屋を出た瞬間何故か涙が止まらなくなった

どこかから視線を感じたがこれ以上ここにいることは出来ない

私は急いでSEVENTEENの宿舎をあとにした

いつの間にか空はすっかり暗くなっていた

そして今朝の天気予報では晴れると言っていたのに雨が振り始めていた

まるで私の心をうつしているかのようだった

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