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全身が不思議な感覚で溢れていた。
自分の意思とは関係なしに体が存在しているような感覚だ。
そして、今いる”空間”が夢であることも、同時に悟った。
真っ暗な世界なのに、自分の姿ははっきりわかる。
どうやらただの暗闇ではないようだ。
まるで、葛葉と出会った公園の世界のようだった。
街頭だけの光で、2人の存在を確かめあっていた。
懐かしい。そういえば、しばらくあの公園に行っていなかった。
目立たないところにある、あの公園。
一体どうしてみつけたんだっけ。
ああそうだ。猫を見つけて、おっかけて行ってたんだ。
どこか見覚えのある猫を。
『それで、何を見つけた?』
?
『何を見つけれた?』
何を?
『__を見つけれた?』
あなたは誰?
『あなたの願い』
『あなたには__になって欲しかった』
『私の背負ったものを、全て下ろしてほしかったの』
『もう何も無い。でもそれでいいの』
目の前に現れた、女神のような女性はたちまち姿を変えて、私の大好きな人の形になった。
『生きていてくれて、見つけてくれてありがとう』
葛葉?
彼はそっと私を包み込んでくれた。
温かい。
周りでは爆弾が炸裂していた。
業火が上がり、建物がたちまち破壊されていく。
あちこちで衝撃音、空爆音、様々な音が唸り合っていた。
そんな世界に、私と葛葉がいた。
私はもう何も感じることが出来なくて、葛葉は泣いていた。
血と血が混ざり合うぐらい、葛葉は私を抱えていて、ずっとずっと名前を呼んでくれていた。
『__になれ』
ずっとそう叫んでいた。
それは、意思を持って願い、その先にあるもの。
誰もが持っている願い。
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あ(プロフ) - うさ公さん» お返事遅くなりすみません!暖かいお言葉ありがとうございます!続編も楽しみにして頂けると幸いです。 (2022年5月21日 22時) (レス) id: ae6a97f231 (このIDを非表示/違反報告)
うさ公(プロフ) - 作品の雰囲気がすごく素敵でした…ぜひ次の作品も楽しみにしています!!! (2022年4月13日 23時) (レス) @page50 id: 0335d724cc (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 古葉優さん» わああありがとう!供給ざくざく…とはいかないけれど古葉さんと好み一緒で良かった!コメントありがとうございます! (2021年11月22日 20時) (レス) @page43 id: a02ef8a524 (このIDを非表示/違反報告)
古葉優(プロフ) - めっちゃ伸びてるねぇ!番外編需要しかないからもっとあげてくだちい (2021年11月22日 17時) (レス) id: e17acf9343 (このIDを非表示/違反報告)
えの(プロフ) - さとうさん» さとう様、コメントありがとうございます!そう言って頂きすごく嬉しいです!もう少々続きますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2021年8月10日 16時) (レス) id: 8daf7b0f5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えの | 作成日時:2021年5月17日 19時