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抱えるようにしてAと共に飛んでいた。
うっかり街の方へ出てしまい、次々と現れる障害物を、とても上手だとはいえない飛行テクニックで躱していく。
「う…、くずは…っ」
腕の中で、Aは葛葉の名を呼ぶ。
だが激しさを増す雨の音で、彼の耳には届かない。
「くそッ」
あっという間に大降りになってしまった天気。
そして黒雲の中でなにかが光る。
大きな衝撃音。
そして光る稲妻。
高い建物も建材するこの場で、生き物が飛行しているのは良くない事かもしれない。
葛葉は瞬時に判断すると、大きく上へ飛び上がった。
そのまま雲の中へ突き進んでいく。
Aに大きく重力がのしかかる。
だがそれ以上に、葛葉の様子が気になっていた。
眼球を動かせれたため、容姿で葛葉だと確定できたはいいが、フラフラな彼の飛行から不安が掻き立てられた。
2人はどんどん上へあがっていく。
Aはずっと怖くて目を瞑っていた。
失明するかも、と思うほど瞼に力を入れて。
と、鼓膜を大きく震わせる雷鳴が、傍で鳴り響く。
体が若干ピリッとした。
「ぐああぁぁッ!!!」
「くずはっ?!」
少し見れば、翼に少し焦げが出来ている。
もしかして、いやこれはもしかしなくても。
とっくに雲を抜けていた。
なんだか寒かったのは雲のせいなのか。
だが、彼の体は限界らしかった。
ふいに腕の力が弱まり、Aと葛葉は大空の中に放たれ、重力に従い、
真っ逆さまへと墜落していった。
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あ(プロフ) - うさ公さん» お返事遅くなりすみません!暖かいお言葉ありがとうございます!続編も楽しみにして頂けると幸いです。 (2022年5月21日 22時) (レス) id: ae6a97f231 (このIDを非表示/違反報告)
うさ公(プロフ) - 作品の雰囲気がすごく素敵でした…ぜひ次の作品も楽しみにしています!!! (2022年4月13日 23時) (レス) @page50 id: 0335d724cc (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 古葉優さん» わああありがとう!供給ざくざく…とはいかないけれど古葉さんと好み一緒で良かった!コメントありがとうございます! (2021年11月22日 20時) (レス) @page43 id: a02ef8a524 (このIDを非表示/違反報告)
古葉優(プロフ) - めっちゃ伸びてるねぇ!番外編需要しかないからもっとあげてくだちい (2021年11月22日 17時) (レス) id: e17acf9343 (このIDを非表示/違反報告)
えの(プロフ) - さとうさん» さとう様、コメントありがとうございます!そう言って頂きすごく嬉しいです!もう少々続きますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2021年8月10日 16時) (レス) id: 8daf7b0f5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えの | 作成日時:2021年5月17日 19時