夜更かし吸血鬼と臆病な子【zh】

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途中、猫を見つけた。
夜空に空洞を作ったような、まんまるの月が浮かび上がっていて今この場所が、幻想かの如く。
月の光が綺麗だった。

まあ俺の種族とか、血とか。
色んなものが共鳴して、月がどうだとかあるかもしれないけれど。
何かが起こりそう、と。
胸騒ぎだけはしていた。

まさかこれが眠れない正体？

「わけわかんねーーなー」

独りごちる。

猫はどこかに消えた。
気付けば、見知らぬ路地だった。

やっべ。

飛べば、まあ1発だろう。
夜更けもいいとこだし、人影なんて全然感じられない。

でもなんだか。
この道の、この街の。
空気にずっと触れていたいと思った。


曲がる。真っ直ぐ。そして曲がる。
最終手段のスマホを駆使し、あっさりと帰り道を見つけた。
でもそこは知らない道で、
暗闇に紛れる建物は、知らないものだらけだった。

胸が少し高鳴る。

ああ、なんか久々だな。
小さい頃は冒険ばっかで。
いや違うか。
当たり前のことが、冒険だったのか。
始めた『これ』も、今住んでる『場所』だって。
全て。


少し前までは、なにもかもが冒険だったハズ。


そうして、俺は少しずつ少年の心・・・、いや、
幼い頃の自分の心を思い起こしていった。




そしたら、


出会ったのだ。


彼女に。

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