32BET ページ34
センラside
(傍にいて欲しい。僕に依存して欲しい。寂しい……)
いつからこんな欲が強くなってしまったのだろう。ドロドロとしたものが心に流れ込む感覚。母に、捨てられた時からだろうか。一人で、全て抱え込んでしまった時からだろうか。
気がつけば、目から涙が溢れていた。チップを賭けているボードに、ポタポタと水滴が落ちる。
それを見たA先輩とセン子は、驚いた顔で僕を見てきた。
『ど、どうしたの折原くん』
「センラ？大丈夫……！？」
「いや、何もない。大丈夫」
僕は涙を拭い、二人がこちらに近づいて来ないように手で制した。それでも尚心配そうにこちらを見てくる二人に、僕は貼り付けたような笑みを向けた。
「ほんま大丈夫やから。さ、ゲームの結果見ましょ？セン子、生か死か言って？」
「う、うん……」
あぁ、我ながら嫌なやつだと思う。相手の心配を跳ね除けてまで、僕は何を手に入れようとしているのだろう。なんだか馬鹿馬鹿しくなってくる。
「八の『生』、二十の『生』、三の『死』」
思ったよりも刺さったな。僕は自分のチップを賭けたボードを見た。僕のボードには、八の所にチップが五枚賭けられていた。
5×30=150
さてA先輩は、と目を向けると、A先輩は二十にチップを十枚賭けていた。A先輩は、どこか安心したような、不安なような、複雑な表情をしていた。
『私は300万円、折原くんは450万円……か』
「さっきよりは差が縮まりましたね。ま、次も勝って差ぁ広げますけど」
『……折原くんはさ』
目を伏せ気味にA先輩は僕の名前を呼んだ。A先輩の綺麗な黒髪が、さらりと耳から落ちる。
『何に怯えてるの？』
「……え？なんで……？」
『君のその琥珀色の瞳が、助けを求めてるように見えたから、かな？』
先輩と目が合う。全てを見透かされたように、心がどくりと波打った。脳裏には忌々しい父親の姿と、寂しそうな母親の姿が。
『次の試合……』
A先輩は、チップの山から一枚チップを取ると、指で弾いて宙に浮かせてまた手中に収めた。それを人差し指と親指で摘むと、それ越しに僕を見てきた。
『次の試合で終わらせる。それも、私と折原くんの引き分けで、ね？』
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神谷朱里(プロフ) - ノンさん» ありがとうございます！ (2019年8月4日 8時) (
レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
ノン(プロフ) - ヤバいヤッパリ最高です！更新楽しみにしてます！がんばってください！ (2019年8月3日 19時) (レス) id: ae4edb19df (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - 神谷朱里さん» 更新頑張れ！新作も見に行くね！ (2019年7月31日 0時) (レス) id: 21fbf65f4f (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - ここあだ！ありがとう！更新頑張るぜ(^o^)v (2019年7月29日 7時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - Twitterから来ちゃった！！そらるさんがなんて言ったかちょー気になる……これからも更新頑張ってね！ (2019年7月28日 15時) (レス) id: 21fbf65f4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまのじゃく x他1人 | 作成日時：2019年5月11日 22時
