144話 No side ページ13
No side
エントランスで戦闘していた天月、悟、佳代は、無事に戦闘に勝利していた。彼らの目の前には、狐の仮面が真っ二つに割れた少女が横たわっていた。
「っはぁ、はぁ、勝ったー!」
汗だくで所々血が滲んでいる天月は、糸が切れたように床に寝転がる。それに続くように、悟と佳代も腰を下ろして脱力した。
「はー、みんなはどうなったかなぁ」
「きっと、みんなも頑張ってるだろうよ」
「……なんか、疲れたな」
視界がぼやけてきた。疲労と出血で意識が朦朧とする、瞼が重くなってくる。僕はそれに身を委ねて、静かに瞳を閉じた。
✾
「……お前とは、もう一度騎士団で戦いたかったぜ」
目の前に倒れたかつての仲間を見て、眉を下げ剣をしまうキヨ。
虎之助は騎士団員だった頃、市民を助けるために人を殺してしまった。本来ならば称賛されるべきなのに、虎之助は罪に問われたのだ。
結果牢屋には入れられなかったものの、虎之助は騎士団を追放された。その後、キヨは虎之助がどこへ行ったか、生きていたのかさえ知らなかった。
「やすらかに眠っとけ、戦友」
あの時、庇っていれば、何か変わっていたのかもしれない。キヨはずっとそう後悔していた。
キヨは中庭に咲いていた黄色いバラを一輪取ると、虎之助の体の上に置く。
「さて、姫様でも助けに行って、俺も英雄になりますかねー」
バラの棘が刺さった右手が、妙に痛んだ。
黄色いバラの花言葉……友情
✾
一方坂田と志麻は、猫の仮面の少年と戦っていた。
「まーしぃ!まーしぃ!!死んじゃ嫌や!!」
坂田は目に涙を溜め、横たわり意識のない志麻の体を揺すっていた。ついには、坂田の目から涙がポロポロとこぼれ落ちる。
志麻の頭部からは、かなり血が出ていて、見るからに痛々しかった。
「グスッ、俺が、俺が何とかせな……!」
震える体を無理やり立たせ、坂田は猫の仮面の少年と向き合う。
時は遡り、うらた達と別れたあとの事___。
269人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
四つ葉 - 完結お疲れ様です!後からすみません。楽しく読ませて頂きました!他の作品も頑張って下さい!ヾ(≧∪≦*)ノ〃 (2020年4月20日 3時) (レス) id: e93bba0f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - いえいえ!こちらこそなんかすみません! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - すみませんww参考になりましたww (2019年8月9日 21時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 忘れてたの!?確かに結婚した後みたいな雰囲気ありましたけどw (2019年8月8日 14時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 名無し1450号さん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱里 | 作成日時:2019年6月15日 14時