34話 傷痕 ページ35
ユウside
彼女の問いかけに、僕はそのまま話を続ける。
手を引っ込めた彼女は、真剣に僕のことを見つめて聞いてくれる
ユ「山小屋の持ち主が、たまたま畑仕事に使う工具を取りにやってきたんです。
しかも、夫婦と子供がいたから、犯人は出てこられず逃げたみたいで。」
『えっ、じゃあ、まだ捕まっていないの?』
ユ「あははは、そうなんですよねぇ・・・」
実は一度は捕まったのだ。
僕のことではなく、窃盗を働いて捕まったようだが、罪が軽く出所したらしい。
僕は犯人の顔は覚えていないし、かなり前のことだから、もう時効にもなる。
ユ「たまーに、傷が痛むことがあるんです。
そのたび、元の世界に帰るのが怖かったり、でも家族や友達に会いたかったり・・・
僕の世界には、魔法はないんですけど、代わりに科学があるんです。
ゲームの世界に本当に入っているような気になれたり、すごーく遠くの人といろんな話をしたり遊べたり、物を使って空を飛んでみたり、地面を滑ってみたり、電子機能だって発達してて・・・」
そう、僕の世界にしかないものが、ある
ユ「どうしても、怖いからこの世界にいたいと思うことは多いんです。
でも、自分が生きていた世界だから、自分の世界にしかないものがあるから、戻りたいって思うんです。
その気持ちが、怖がっている僕を少しでも前に進めてくれる気がするから・・・・」
Aさんは、少し目を見開いて、僕を見つめていた
『前に・・・』
そう呟いた彼女は、少しの間床をみつめたり、周囲に目を向けて考えている様子だった。
ユ「僕、なんか余計な事たくさん話しちゃったな・・・すいません。」
『えっ、全くそんなことないわ!
ありがとう。辛い話なのに、詳しく、あなたの気持ちも教えてくれて・・・・』
彼女が少しだけ俯き、後ろ髪が肩から漏れる
ほんの2,3秒、目をつぶったあとに彼女は、話してくれた
『私の話も、聞いてくれる?』
悲しそうな目をして、小さな声で、ポツリポツリ、いいにくいことは耳打ちをしたり、察してほしそうに目配せをして。
全部伝わったし、全部知った。
彼女の真実を聞いて、僕は驚きを隠せなかった。
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心音ユイ(プロフ) - れさん» あぐぅ・・・ありがとうございます・・・更新が遅かったりしますがよろしくお願いします!!チュキデス (2020年6月28日 21時) (レス) id: b6551fdc02 (このIDを非表示/違反報告)
れ(プロフ) - うっ、、ものすごく好きです、、、これからも楽しみにしてます!頑張ってください、、!スキデス (2020年6月27日 15時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
心音ユイ(プロフ) - はまぐりさん» もぐもぐしてくださりありがとうございます…!!これからも美味しいおかずを提供させていただきますねっっ!!! (2020年6月26日 9時) (レス) id: 7ab19ab3f9 (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - どんな展開になっても美味しく読める…続き待ってます!!! (2020年6月24日 4時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
心音ユイ(プロフ) - スッッキリィィィィ!さん» んぎぃありがとうございますっっっ!!! (2020年6月23日 22時) (レス) id: 7ab19ab3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心音ユイ | 作成日時:2020年6月13日 11時