秘密 ヲ 死守 セヨ【宮侑】

4．昔 ノ 話 ページ9

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私の両親は厳しく、礼儀作法にうるさい人達やった。



もっと女性らしい振る舞いを、言動を。

耳にタコができるくらい何度も言われた。





でも、


私の性格はどちらかといえば男勝りで、

女子のグループではなかなか馴染めん。







小学校から始めたバレー。


中学のバレー部では、どれだけ頑張っても私がスタメンに入れられることは無かった。



チームメイトからの妨害。

監督からの嫌がらせ。





『女の子』であることは嫌いやない。

可愛いものやって好きやし。






ただ



私が女の子として生きていくには


少し、つらい世界やと思った。









「侑のやつ、最近調子乗っとるよな」




男子バレー部の宮侑くん。


彼が一部のチームメイトからそう言われとることは知っとった。




「おい侑、俺の教科書勝手に持ってったやろ」

「家に忘れてしもてん。今日だけ貸してや」

「それ、ちゃんと返したことのあるやつが言うセリフやん」



それでも彼はいつだって自由気まま、

絶対ブレない。





男の子の世界が羨ましい。

私も、男の子が良かった。





私が侑くんのことを自然と目で追うようになるまで


時間はあまりかからんかった。









中学2年、3年。

私と侑くんは同じクラスやった。



けれどきっと、おそらく、十中八九、

彼は私の存在なんて覚えていない。




クラスでも目立たない、

ただ少し背が高いだけの地味な女。





「文化祭、みんな何やりたーい？」

「はいはい、コント！コントやろーや！」

「バッカ侑！そりゃ双子だけでやっとき！」

「えー絶対おもろいでー？」




ドッ、と教室で笑いが起きる。




全ては彼ら、宮兄弟を中心に回っとる。




そんな錯覚におちいるほど、







彼は眩しかった。









ただの憧れも、すぐに恋へと変わった。






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