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「え、あつ……」
「ええですよ北さん。こいつ俺が連れてくんで」
「？ せやけど、」
「それじゃ、部活続けとってください」
「わっ、ちょっ⋯侑⋯⋯！」
侑がオレの腕を強引に引っ張って体育館の外へ連れ出す。
「侑っ⋯⋯おい、痛いって！」
侑はずっと、黙ったままだ。
背中からは侑が何を考えているのかわからなくて、
すごく、怖い。
「ッ⋯」
むりやりに部室に押し込まれる。
曇り空のせいで、電気のついてない室内はカーテンを開けてても薄暗い。
入り口を塞ぐように立つ侑は俯いていて
表情が読めない。
「⋯侑？」
「なあ、お前何しに稲荷崎に戻ってきてん」
「！」
『戻って』くる、って
「お前、俺と同じ中学やったやつやろ」
「なん⋯」
「髪型も性格も変えて、苗字も変えて、そないにしてまで稲荷崎に戻ってきたんはなんでや？」
「⋯⋯」
言えない
言えない
どうしよう
どうすれば
「⋯⋯腹立つなあ、」
気づけば、侑はすぐ目の前まで近づいてきていた。
「あつ、⋯⋯ッッ！」
ガツンッ、
後ろのベンチに押し倒される。
オレにまたがった侑が、
オレの両腕をベンチに押しつけて見下ろす。
「健気やねA。お前、北さんのことが好きなんやろ」
「はあ！？」
「さっきも北さんに触られて顔赤くしとったもんなあ。
公衆の面前であないに男の手にすりよって、恥ずかしないん？
体育館のはじっこなら見られへんとおもたん？
ああ、そのために男のフリまでしとるんか」
「⋯⋯なんで、それ」
「⋯なんや図星かいな」
「⋯！？」
唐突に
侑の手が、オレのTシャツの中に入り込んできた。
「ちょっ⋯なに⋯⋯！」
「どうせ中学んとき他校の北さん見て好きになって、
近づくために男のフリしてウチに入ってきたんやろ？
ただの女バレ部員やと、北さんとロクに関われへんもんな
俺には同じ中学やったことがバレんように東京出身やて嘘ついて、
北さんには親しみ持ってもらうために関西弁で話しとったんやろ
そないにしてまで北さんと付き合いたかったん？
必死すぎてキショいねんけど」
「やだっ⋯おい侑っ⋯⋯」
侑がオレの服の中をまさぐる。
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湧緋(プロフ) - しずくさん» 感動してくださったのでしょうか！とても嬉しいです！！すれ違いは書いててツライですね…。けどハッピーエンドを目指します！ 侑に聞こえているかは、ぜび完結編をご覧下さい！ コメントありがとうございます！ (2020年3月14日 13時) (
レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» またまたコメントありがとうございます！頑張って2人を幸せにしたい！ので、楽しみにしていてください！ 完結編もぜひ！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
しずく - どうしよう・・・涙がとまりません。2人の思いがすれ違ってなんかかわいそうやけど、夢主ちゃん最後にさらっと告白してるとこ侑くんに聞こえてるんでしょうか？ (2020年3月12日 18時) (レス) id: db0ac314d3 (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - ヤバいです。涙が出ました。侑くんと夢主ちゃんのすれ違いがもどかしくて心が締め付けられます…。続きを楽しみにしています！ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» わーい！！ありがとうございます！頑張ります！！！ (2020年3月3日 14時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湧緋 | 作成日時：2020年3月2日 14時
