29．ヤメル ページ41
．．．
昨日はよく眠れなかった。
不安で
怖くて
侑に嫌われたかもしれないと思うと
心臓が押しつぶされそうになった。
侑はどこまでわかったんだろう。
聞かれたのは
オレが関西弁を話していたことと
北さんとの関係。
……オレが女だということは、きっとまだバレていないはずだ。
話してしまおうか？
オレが実は兵庫の中学出身で、
北さんとはひょんなことから仲良くなったと
ごまかせなくもないだろう。
練習に身が入らない。
侑と目が合った。
けどすぐにそらされる。
つらいなあ。
今日は一度も侑と話してない。
女の子と仲良くしても、
侑は何も言わない。
「10分休憩や」
北さんの平坦な声が体育館に響く。
頭がぼやぼやする。
オレはフラフラと倒れ込むようにして体育館のすみへ移動した。
ああ、ボトルを持ってくるの忘れてた。
でも、取りに行くほどの気力がない。
「A、具合悪いんか」
上から北さんの声が降ってくる。
「あー、すんませんちょっと昨日はよく眠れん……眠れなくて」
危ない
つい北さんと話すときのクセで関西弁が出るところだった。
ここは体育館だ。
誰かに聞かれる可能性は高い。
「体調が万全や無いんやったら無理して練習すな
体調管理は怠ったらアカン」
「うあー……でも本当に、寝不足なだけなんで大丈夫です」
「A、ちと頭貸し」
「はい……？」
サラリと、前髪が持ち上げられる。
額に冷たいものが押しつけられた。
「…やっぱり、A熱あんで。
今朝見たときより顔も赤なっとるし」
「……ねつ？」
確かに、体が熱い気がする。
額に触れてる北さんの手が冷たく感じる。
その手に思わず、顔をすりよせる。
「北さん、体温低い人ですか？」
「普通や。Aが今高いだけやて。もう今日はお家帰り」
「………北さんの手、冷とうて気持ちええですね」
「標準語ブレとんで。
…アカンなわかった、冷却シート用意したるから。
立てるか？」
「あ、はい。それは全然」
「ほなら、とりあえず部室に……」
北さんがオレに手を差し出してくれる。
オレもその手をつかもうとして、
「う、わっ……」
ぐ、と
後ろから引っ張られた。
「…侑、どないしてん」
北さんがオレの背後を見てそう言う。
侑……！？
．
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湧緋(プロフ) - しずくさん» 感動してくださったのでしょうか！とても嬉しいです！！すれ違いは書いててツライですね…。けどハッピーエンドを目指します！ 侑に聞こえているかは、ぜび完結編をご覧下さい！ コメントありがとうございます！ (2020年3月14日 13時) (
レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» またまたコメントありがとうございます！頑張って2人を幸せにしたい！ので、楽しみにしていてください！ 完結編もぜひ！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
しずく - どうしよう・・・涙がとまりません。2人の思いがすれ違ってなんかかわいそうやけど、夢主ちゃん最後にさらっと告白してるとこ侑くんに聞こえてるんでしょうか？ (2020年3月12日 18時) (レス) id: db0ac314d3 (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - ヤバいです。涙が出ました。侑くんと夢主ちゃんのすれ違いがもどかしくて心が締め付けられます…。続きを楽しみにしています！ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» わーい！！ありがとうございます！頑張ります！！！ (2020年3月3日 14時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湧緋 | 作成日時：2020年3月2日 14時
