22．味噌汁 ページ31
．．．
「…で、こないだの土曜に北さんが背の高い女と歩いとってん」
「んブッッ………」
思わず味噌汁を吹いてしまった。
「きたなっ！A何やっとんの！？」
「お、オレジャネーヨ！！？」
「は？ いや吹いたのはお前やろ」
「あ、そっちね。うんごめんそれはオレだわ」
「そっちてどっち…？」
賑やかな食堂。
オレは自分が吹いた味噌汁を丁寧に拭き取る。
「ほんで、Aはどない思う？」
「なにが？」
「せやから、北さんに彼女がおんのかっちゅう話」
「彼女……オレは聞いたことないけど。
てかそれ本当に彼女だったの？
家族とかじゃなくて？」
「ちゃうやろ。背高かったし髪の色とかも全然ちごたし」
「………そうなんだ」
やばい
ガッツリ見られてた。
息抜きだからって油断してた。
女の格好を、よりにもよって侑に見られるなんて。
…いや、でも逆に考えてみろ。
男の格好のまま北さんと休日出かけてるとこ見られても困るよな。
元々北さんと特別仲良かったわけじゃないし。
急に休日一緒に、なんて不自然だ。
それに侑は「北さんといた背の高い女」がまさかオレだとは思ってない。
ウン、グッジョブ結果オーライ！
「ちゅうか、お前あいっかわらず堅苦しい食べ方しよんな」
「うっさいなあ。しょーがないだろそういう風に身についてるんだから。
もうクセみたいなもんなの」
「一緒に食っとるこっちが堅苦しなるわ。
もっとカジュアルに食べれへんの？」
「お前なんか食事マナーが悪くて総理大臣に殺されろ」
「どういうこと？？？？」
侑は今日も色々とうるさい。
ええい無視だ無視。
相手にするな。
『Aは、食べ方綺麗やな』
『ええと思うで。俺は好きや』
「────北さんだったら褒めてくれたのに」
「……は？」
あ、しまったつい口に出しちゃった。
慌ててごまかすように卵焼きを口に入れる。
「お前北さんと一緒に食べたことあるんか」
「が、合宿のときだよ。
たまたま食べてるときに北さんが通りかかったの」
「…ふーん。まあ、ほんならええわ」
なにが？
一気に機嫌を悪くしたらしい侑はそれから無口になってしまった。
オレはどうして急に侑がそんなになってしまったのかわからなくて、ただ首を傾げた。
．
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湧緋(プロフ) - しずくさん» 感動してくださったのでしょうか！とても嬉しいです！！すれ違いは書いててツライですね…。けどハッピーエンドを目指します！ 侑に聞こえているかは、ぜび完結編をご覧下さい！ コメントありがとうございます！ (2020年3月14日 13時) (
レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» またまたコメントありがとうございます！頑張って2人を幸せにしたい！ので、楽しみにしていてください！ 完結編もぜひ！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
しずく - どうしよう・・・涙がとまりません。2人の思いがすれ違ってなんかかわいそうやけど、夢主ちゃん最後にさらっと告白してるとこ侑くんに聞こえてるんでしょうか？ (2020年3月12日 18時) (レス) id: db0ac314d3 (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - ヤバいです。涙が出ました。侑くんと夢主ちゃんのすれ違いがもどかしくて心が締め付けられます…。続きを楽しみにしています！ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» わーい！！ありがとうございます！頑張ります！！！ (2020年3月3日 14時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湧緋 | 作成日時：2020年3月2日 14時
