9．水 ページ16
．．．
「なにか言うことは？」
「「⋯⋯すまんとおもとるよ」」
バツの悪そうな顔で侑、治の2人が目をそらす。
「⋯⋯⋯そう思うならもう今後一切むやみに水遊びとかするなよ」
「俺やないで、だいたい侑が悪いんやで」
「ちゃうやん。ここにホースがあるんが悪いんやん。
そら水出したくもなるやろ普通」
「ならないよ！！
少なくともホースで水出しながらところ構わず噴射はしないよ！」
「んもー！せやからすまんて言うとるやん！Aやかましわぁ！」
中庭
双子の手には園芸用の長いホース。
ジョロロロロ、と水が垂れ流されている。
オレは、
水浸し。
こんなとこ通りかかるんじゃなかった。
この双子は休み時間も騒がしい。
制服が濡れて気持ち悪い。
ワイシャツが透けて下が見えないようになんとか腕で隠す。
「⋯⋯クシュッ！」
「！」
「うﾞあー⋯⋯、クシュンッッ！」
どうやら体が冷えてきたようで、鼻の奥がムズムズしてきた。
侑はガシガシと自分の頭をかいている。
大丈夫か？と治が聞く。
「まーヘイキ。治、4組の人に次の授業オレ遅れるって言っといて」
「わかったわ。制服どないするん？」
「部室にジャージ置いてあるからそれ着る。放課後まであと2時間だけだし良いでしょ」
「そうか」
「おい侑、聞いてんの？」
「んん⋯おー」
「じゃあ、オレ部室行くわ」
「あー、待てや」
「え？⋯ぶわっ」
そのまま立ち去ろうとしたところを呼び止められて振り向こうとすると、
バサリと、上から何か被せられた。
「⋯寒いんなら、部室までこれ着ていき」
人の体温、
侑のにおい、
「⋯⋯濡れても知らないからな」
オレは侑のブレザーに腕を通す。
「別にかまへんよ、そんくらいなら」
そして今度こそ部室へ向かった。
少しあまる袖丈が、なんだかくすぐったかった。
．
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湧緋(プロフ) - しずくさん» 感動してくださったのでしょうか！とても嬉しいです！！すれ違いは書いててツライですね…。けどハッピーエンドを目指します！ 侑に聞こえているかは、ぜび完結編をご覧下さい！ コメントありがとうございます！ (2020年3月14日 13時) (
レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» またまたコメントありがとうございます！頑張って2人を幸せにしたい！ので、楽しみにしていてください！ 完結編もぜひ！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
しずく - どうしよう・・・涙がとまりません。2人の思いがすれ違ってなんかかわいそうやけど、夢主ちゃん最後にさらっと告白してるとこ侑くんに聞こえてるんでしょうか？ (2020年3月12日 18時) (レス) id: db0ac314d3 (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - ヤバいです。涙が出ました。侑くんと夢主ちゃんのすれ違いがもどかしくて心が締め付けられます…。続きを楽しみにしています！ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
湧緋(プロフ) - 猫太郎丸さん» わーい！！ありがとうございます！頑張ります！！！ (2020年3月3日 14時) (レス) id: ae4a71a3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湧緋 | 作成日時：2020年3月2日 14時
