秘密 ヲ 死守 セヨ【宮侑】

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中学を卒業して、

侑くんに想いを伝えることなく



私は両親の元を離れ東京へ移った。







厳しい環境に置かれて『女』として生きることに苦しんどった私を、

親戚のおじさんが助けてくれた。




「A、辛いんやったら、女なんてやめてまえばええんよ」

「しばらくの間、東京で休んどき。

　Aの準備ができたらまた、兵庫で学校、通えばええから」

「嫌なんやったら、親の方には戻らんくてもええし」




おじさんは、兵庫の高校で理事長をしとる人やった。



優しいおじさんは、私を男としてその高校に入れてくれると言った。



バレーの強豪校。




「すまんなあA。お前を公式戦に出してやれんくて」




しょうがないと思った。


万が一にも私が女だとバレたとき、責任が来るのは理事長であるおじさんだけやない。




女を試合に出しとった、チームにもや。







極力人に迷惑をかけないことを条件に



おじさんが色々な手続きをしてくれて、




苗字も変わり、



長かった髪もバッサリ切って、









高校1年の秋。


オレは稲荷崎高校に転校して来た。





オレが女だと知るのは、学校にはおじさんだけ。









「上ッッ等やいつか吠え面かかせたるから待っときA！！」

「はーい、期待しとくわー♡」



最初は侑と関わるつもりなんかなかった。



女のときに告白もできなかったんだから


後はもう、同じ部員としてただ見ているだけで幸せだと思ってた。






でも、侑がオレに対抗意識を燃やしていると気づいてから、







ああ、これだ。

と思った。






友達として、ライバルとして、チームメイトとして、

ムカつくやつとして。




想いを告げるなんてバカなこと

もうするつもりはない。







侑と同じ中学に通っていたことがバレないように

関西の訛りは完全に封印した。




完璧に隠し通してみせる。








だって、今のココが、


侑の隣にいられる、最高のポジションなんだから。







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