【薄桜鬼】死後の逢瀬

真実を知れ2 ページ14

＊貴方side＊

和泉:まず何から話すか…。お前は、この狭間の世界がどういう仕組みになってるかは知ってるか？

貴方:はい。ここは生と死の間の世界なんですよね。でも、ここにいる人は現世の記憶が無くなる…と。

江府住:まぁ、あながち間違ってねーな。けどな、刀を持ってんのは俺たち番人ぐらいしかいねーんだ。他の奴等は皆記憶が無い。蘇ることもありえねーんだ。

貴方:え、そうなんですか⁉︎ じゃあ何で皆さんは記憶が戻ったんですか？大和さんは何らかの拍子で思い出す…と言っていたのですが…

上総介:ちょっと複雑なんだけどさ、俺たち番人は現世の記憶を狭間の世界に引き継ぐことが出来るんだよ。

貴方:そうなんですか…。あ、ところで上総介さんと江府住さんは記憶が蘇っているんですか？刀が鞘から抜けたら、記憶が戻った証だと聞いたのですが…。

江府住:あぁ、抜けるぜ。ほら

上総介:俺も抜けるぜ！俺は和泉さんよりも早く思い出したんだけどさ。


あれ…？さっき上総介さん、番人は記憶を引き継ぐことが出来るって言ったよね？でも、皆さんは記憶が蘇ったと言って…あれ…？


和泉:大丈夫か？

貴方:え、えっと…大丈夫…だと思います…。つまり皆さんは記憶を引き継ぐことが出来るけど、ここに来た時は記憶が無かったと言うことですか？

和泉:そうだ。記憶が蘇った証にこの刀が鞘から抜けるって言っただろ？鞘から抜けた時、俺たちは本当の名前を思い出す。今の俺の名前は和泉、「和泉守兼定」だ。

貴方:和泉守兼定…？


聞き覚えのある言葉だ。私が小さい頃、斎藤さんと永倉さんに新選組の話について教えて欲しいと頼んだ時に斎藤さんが教えてくれたんだ。和泉守兼定は、新選組副長である土方歳三の刀の名前だ。斎藤さんは刀に詳しくて、お父さんの刀名含めて教えてくれたっけ…。

新選組の、副長………？


貴方:嘘…⁉︎ じゃあ、まさか貴方が…⁉︎

和泉:あぁ、そうだ。俺の現世の名前は土方歳三。新選組副長をやっていた。

貴方:じゃ、じゃあ上総介さんと江府住さんも…！

上総介:そっ！俺が現世で使ってた刀の名前が上総介兼重。元新選組8番組組長の藤堂平助！

江府住:んで、俺が元新選組10番組組長の原田左之助な。俺は槍使いだったんだが、刀の名前を使わなきゃなんなくてな。それで江府住興友って名乗ってたんだ。


信じられなかった。まさかここでお父さんと最も関わりのあった新選組の方とお会い出来てたなんて…！

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