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「おはようみんな。それじゃあ出発だ。」


今日の流れとしては、9時半には現地着。それからは荷解きをして会議に出席…




と、副隊長は言っていたはずだったんだが。






「お前…昨日のやつやないか…今度は仲間も引き連れてなんの用や?」


「…外交官様に客人だと説明されても揺るがない警戒心、さすが閣下の認めた人だ。」
「ただ、こればっかりは口外する許可を貰っていないもので。私達もどう言えば良いか…まぁ」




どうせ説明したところであなたの好奇心は収まらないと思うが。




そう副隊長が言い終える前に、彼はその2つの翡翠を初めて見せ、口元には歪んだ三日月を浮かべた。

その目は輝き、これから起こるであろう事を待ち望んでいるようであった。





「そう言われちゃあしょうがねぇなぁ?…ただ、条件は2つ。」



キンッ



「戦うのは女、お前だけ。タイムリミットは俺かお前、どっちかが死ぬまで。」


「…いいでしょう。」
「門前で人通りもあると言うのに…イスパール、私の荷物頼んだよ。」

「っ、はいっ。」






会話中に先手を仕掛けたのは名高き暗殺部隊のゾムであった。


ただ、彼のナイフを使った奇襲は、Aとそのナイフによっていとも容易く受け流され、ゾムは少し驚いて目を見開いたのをクレンは見逃さなかった。



Aはすぐさま後ろに大きく飛び、距離をとる。
だが、ゾムもじっといてはいない。着地の瞬間、Aが起こした砂埃の中から切りつけた。

だが、そこにAはいない。ゾムは後方に目線を向けるが、やや斜め下から背中に飛びつかれる。



まだ早朝の城前。周囲には寝ぼけ眼で突っ立っていた衛兵、餌を待ち望む雛鳥、その他城に用事のある人間が少々いたのだが。


その全てが砂埃に息を飲み、釘付けになっていた。


次の瞬間、静寂に金属がぶつかる音が響く。


Aがゾムを仕留めたかと思いきや、やはり体格の差があるのだろう。ゾムは簡単には倒れなかったようだ。


再びAの姿が近くに居ないところを見ると、やはり距離をとって再度立て直しを図ろうとしているのだろう。



「ちょこまか動きやがって…鬱陶しいねんっ!!」



ゾムは堪忍袋の緒が切れたのか、どこからともなく丸いモノを取り出し、逃げ惑うAの走る先に投げつける。


あれは、まごうこと無き爆発物である。





「死ね。」



ドカーーーーーン…

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作者名:猫村 ゆきみ | 作成日時:2024年2月20日 8時

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