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………リリ……ピリリ……ピリリリ……ピリリリ……
ﾌﾞﾂ。
｢…要請を確認。7年4ヶ月27日8時間32分7秒ぶりですね。予定到着時刻は午前2時27分32秒。どうかご準備なさいますよう。｣
w国の過去の遺物。
それは、ネズミにとっての猫であり、罪人にとっての処刑人であり、生命にとっての滅びと同等の存在。
旧ロチーロイコマ帝国による、B隊計画の生き残り。
A·デルガド。
その名は国内の歴代三強にのみ伝わり、国のトップに限りその召集権が存在する。
そんな孤高な存在として語られて来た私だが、この度主によって召集される事になった。
前述の通り、最終召集からかなりの年月がたって居るということは、それまでの戦争は私が出るまでもなかったという事なのだが、どうにも今回はそうはいかなかったらしい。
地下基地のアラートを止め、チタン製の階段を登っていく。
久しぶりの我が国の大地を踏みしめて見据えるは要塞城。
頻拍した状況に似つかぬ澄んだ空に心を掴まれていると、聞きなれた足音がする。
｢……31…32秒。相変わらず正確な事で何よりだ。｣
｢お久しぶりです。坊ちゃん。あぁいえ、これからは総統閣下とお呼びするべきでしょうか？｣
｢…本来ならば家族として抱擁なりなんなりする所だろうが、残念ながらそんなことをしている暇は無いものでな。｣
｢そんなこと、百も承知しております。では早速案内してくださいませ。｣
その金髪をなびかせ、黒いコートを翻して私の前を歩く彼の背中が変わっていないことに安堵し、少し頬が緩んでしまう。
彼はそれを感じ取ったのか、少し足音を響かせて、スピードをあげる。
なーんだ、久しぶりの再会が許されて少し喜んでるのは私だけかぁ。
ちょっとサクッと心に来たかも。
｢ほら、着いたぞ。中にはトントンとオスマンしか居ないから、存分に話してもらって構わないからな。｣
｢……いえ、安心するには早いですよ。敵意は無いけど気配がひとつ多い…｣
｢大方あなたの部下のひとりでしょう。こんな夜に起きているもんなんです？｣
何か重い物がいる。素が強い人間のそれがそこの厚い扉から悶々と漂ってくるのだ。
だが、彼は忠告を無視し何食わぬ顔でドアを開ける。
ぎぃ、とドアが鳴いたのが先か、私が襲われたのが先か。
｢…お前、何もんや。｣
｢なんで咄嗟に受け流せんねん。ただもんちゃうな。｣
飛び出してきた緑は私を切りつけるなり睨んできた。
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作者名：猫村 ゆきみ | 作成日時：2024年2月20日 8時
