20 遊撃隊つまり迷子 ゾロside ページ21
屋敷にはまだ突入するなとナミに厳しく厳しく言いつけられ、とりあえず船番の司令塔から子電伝虫に連絡が入るのを待つしか無かった。
ルフィにはもはや子電伝虫さえ渡されていないので、おれはまだマシ、という意識はある。
「な〜ゾロ。まだなんもしちゃダメか？」
「ダメだ。ナミからの連絡を待て」
「暇だあ……」
「おい、ここ、来たことあると思ったらAの家か」
「おーそうなのか！デケェな！！おっじゃまっしまーす！」
「おいおいルフィ……」
船長がこんななのはいつもの事だが、毎度呆れるばかりだ。
海賊だから法律やらマナーを守らないのは当たり前にしても、人間として最低限のモラルとデリカシーが必要だろう。
と言うと必ずナミからお前が言うなと返されるのだが。
「ゾロ〜見てみろよ像があるぞ！いいな〜おれも銅像欲しい！」
「昔も言ってたがお前のその銅像への憧れはなんなんだ…」
「男のロマンだろ？アフロだってそうだ！」
ボクシングポーズをとって船長ははにかむ。
「男のロマンねぇ……」
おれは船長の言葉を適当に受け流しつつ、奥へと歩を進める。昨日訪れた時と何ら変わらない屋敷の風景だ。
棚の上に無造作に置かれたノートが1冊。
「日記か。ノゾキの趣味はねェが……」
情報を得るためだ。致し方ないと割り切ってペラペラとめくる。
ナミが付けている航海日誌やコックの書くレシピ帳とはまるで正反対の、乱雑な文字の羅列。
あれだけあかるく振舞っておいて、これだ。
内容も見るに堪えない、絶望と悲哀に満ちたものだった。
「ゾロ」
抑揚の無い船長の声が広い空間に響く。
「わかってる」
「そうか、じゃあそろそろフローレンス？の連中んとこ行こうぜ！ここつまんねー｣
自分から勝手に侵入して言うことはめちゃくちゃである。
しかしそろそろ連絡が来てもおかしくないタイミングだ。
ノートを元の位置に戻して、おれは踵を返した。
おれはもう迷ってはならないのだ。
21 ファクトリー部隊つまり暗躍→←19 作戦開始 ローside
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作者名：ヤソップ | 作成日時：2021年2月13日 10時
