19 作戦開始 ローside ページ20
フローレンス家はファクトリーを経営しており、それを資金源としているらしいが、詳しいところは知らされていない。
警備が厳しく、島民の中でも知るものは居ないからだ。
だからそこに隠蔽したい何かが存在する、とニコ屋は睨んでいる。
「おい、ロー。耳かせ」
出発直前、黒足屋がおれを引き止める。
ちなみに麦わら屋とゾロ屋はとっくの昔に飛び出している。
「………」
「わかった。だがその合言葉どうにかならねェか」
「文句は受け付けねぇ」
黒足屋は鼻屋とトニー屋と喋るAを一瞥して声を潜めた。
「誰もお前に聞いてやらねェと思うからおれが言ってやる。なぜ女一人を助けるためにお前がこうまでする？」
女好きで、女1人の為に命まで張る男とは思えない発言だった。
「お前が言うか？」
「ああ、おれが言う。テメェはウチの船の方針に私情を挟んでやがる。ルフィがわがまま言うのとは訳が違ェ。…いやまぁそれはいい。ルフィがそれでいいんだろうから」
そうじゃなくてだな、と黒足屋は言い淀む
「一目惚れか？」
思わずおれは吹き出した。何を言いやがるのかこの恋愛脳エロコックは。
「なんでそうなる……」
「でも他に思いつかねーもん。」
「違う。おれは単に無知なばっかりに差別する人間が嫌いなだけだ」
「それで人助けしてちゃ訳ねーよ」
黒足屋は鼻で笑ってから、話したいことを話しきったのか船室に戻って行った。
妙に鋭い黒足屋というヤツは、ドレスローザでのことといいおれでさえ無自覚な感情を指摘してくることがある。
だからなんなのだと言う話だが。全くもって、今のは的外れだが。
「ローさん！出発ですって！子電伝虫は持ちましたか？」
Aが声を掛けてくるので、静かに首肯する。
指摘されると気にならない訳にはいかなくなる。
急かすナミ屋の為に早足で向かった。
……まったくどいつもこいつも
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作者名：ヤソップ | 作成日時：2021年2月13日 10時
