15 万能薬 ページ16
夕飯後はそれぞれが思うように過ごすらしい。
結局話はまとまらず、漠然と情報集めてのちぶっ飛ばす！で完結した。
甲板で私が風を浴びていると、後ろから声を掛けられる。
「A、医務室に来てくれねェか」
「チョッパーさん？またどうして」
「傷、隠してる」
そう言われてさっと服の袖を抑える。
「古傷です！大丈夫、大丈夫です。慣れてますから」
「A、おれは医者だ。ほっとけねえよ、仕事させてくれ」
「…私はあくまで部外…客人ですから…」
「トラ男も待ってる。医者は誰だろうと関係なく治療するんだ。敵でも一緒だ。」
押し切られた。逃れられない。
チョッパーなら言いくるめられるだろうとタカをくくっていたが、何気に一番逃げづらいかもしれない。
私は大人しくチョッパーに連行された。
「えっローさんって医者だったんですか…？」
「知らなかったのかお前…」
「どっちかというと殺し屋って感じが」
失礼だな、といいつつもローさんはテキパキと私に治療を施す。
医者二人にかかれば、あちこちの痛みもおさえられる。
「トラ男はな！スゲェんだぞ！医学書を直ぐに覚えちまうし、手も器用でな」
チョッパーは楽しそうにローについて喋っている。
相当このトナカイに懐かれているらしい。
「あーっでもな、でもな、手の器用さならウソップもすげーんだ！ナミは頭がよくってな！あとフランキーは…」
止まらない、止まらないぞコレ。
この鹿、仲間が大好きで仕方ないらしい。
「これが終わったらキッチンに行こう！サンジの作るホットココアはな！マシュマロが入っててな！こう、シュワ〜ッて溶けてな！甘〜くってな！」
「うん、分かったから落ち着いてチョッパーさん。後で行こう、私もおこぼれに預かりたい」
「もうすぐ終わるぞ」
包帯にグルグル巻かれる腕を眺めながら、私はココアを楽しみに胸躍らせていた。
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作者名：ヤソップ | 作成日時：2021年2月13日 10時
