14 ダブルキャプテン ロビンside ページ15
「んーじゃあその風呂レースってやつらぶっ飛ばせばいいんだな！」
夕飯時、戻ってきて話を聞くなりルフィは笑顔でそう言った。
思わず私はバスタブがレース上を高速移動する様子を想像したが、直ぐに我に返った。
「まて！戦闘はまずい！…けどよ、島のやつらみんな口を開けばA…だっけ？お前とサンジの悪口ばっかりで、様子がおかしいんだよ」
ウソップはいつも通り消極的な姿勢だが、島の様子に不快感があるようだった。
「ぶっ飛ばすだけで話が解決する訳じゃねェだろ。まずやつらが何を企んでるのかを知るべきだ」
おにぎりを頬いっぱいに詰め込んだローが真っ当なことを言う。
「じゃあアレだ！潜入そうさ！んでそれからぶっ飛ばす！」
「結局ぶっ飛ばすのかよ！おれァ戦闘はやだぞ！」
「私もイヤよ！なるべく穏便にことを運ぶべきだわ！」
「おれも！トナカイだから潜入は向いてねェけど…」
ぴーぴーと戦闘を避けたい三人がそれぞれに声を上げていると、横でグスグスと鼻をすする音が聞こえる。
「A…？どうしたの？苦手なものでも入ってた？」
「いいえ…これ…これめっちゃ美味しいです…でもこんな大勢で食卓囲むなんて初めてで、なんか胸いっぱいで」
「そう、私もこの船に乗った時そうだったわ。あったかくて、なんだか夢見心地よね。」
「はい…」
Aは目を赤くして頬いっぱい食べ物を詰め込んでいる。
まるでハムスターのようで、可愛いもの好きな私としては庇護欲をかき立てられる
結局ゾロは帰ってきていないが、いつもの事なので皆気にしてはいない。深夜までには帰ってくるだろう。
「にしてもこの島は活気がねェっつうか張り詰めてるっつか」
フランキーがジョッキを片手にエールを煽る。
「グズ、ズビ…はい、それに関しては資源や観光客が少なく、収入が厳しいので皆フローレンス家の援助を受けているんです。だから、あの」
「フローレンス家に対する反乱分子を告発することで高待遇を得られる…ということね」
「はい…」
私はAの言いづらそうな部分を補う。
告発を繰り返し、いい思いをしようとする島民、言論弾圧、同調圧力、目が回りそうなほど生活しづらい場所である。
そんな場所でひとり生き抜いてきた少女と、かつての自分をどうしても重ねてしまう所があった。
だからこそ、私たちは彼女を良き友人として助けたいと願うのだ。
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作者名：ヤソップ | 作成日時：2021年2月13日 10時
