12 報連相 フランキーside ページ13
「なんだ楽しそうじゃねーかよ」
船のメンテナンスから戻ってきたフランキーは3人の雰囲気に胸を撫で下ろす。
ロビンの前にAは酷く緊張していたようだから、笑顔で歌を歌えているのはいい事だ。
「フランキー、もう終わったの？」
「ああ、こっちは大丈夫だ。調べ物してる連中も終わったようだぜ？」
ロビンとローがいくつかの書物を持ってダイニングに戻ってくる。途端にAの表情が固くなった。
「何か分かったことはあったのか？」
「ええ、でも核心には至らないわ。この島の実権はフローレンス家と呼ばれる一族が握っている、というのはAも知る所よね？」
「は、はい。私はフローレンス家の方にお金を貰って生きています。」
「それは何故？」
「なぜ、ですか？ちっちゃな頃からそうだった、としか」
ロビンの言葉にAは酷く動揺する。ローは静観していて、口を挟むつもりはないらしい。
「貴方を生かすことで、フローレンス家は何か得をしているのかしら？ということよ」
「え？」
「迫害を受ける貴方にお金を渡すにはそれなりの利益がなければならないの。貴方を迫害から守ろうとする動きもない。つまり」
「ロビン！待って！」
ナミがロビンを制止する。この場にいる誰もが、残酷な憶測をAに突きつけることを知っていた。
「…ごめんなさい。早計だったわ。もう少し、分かってから報告するわね」
ロビンが少し落ち込んだ様子で俯く。
相手はナミとそう歳の変わらない少女だ。
「その必要はねェ。テメェは島の利権の為に利用されてるだけだ、A」
ローの言葉にピシリ、空気が固まる。
「り、りけん…？」
「調べたがな。この島に金色が縁起が悪いなんて文化は元々存在しちゃいねェ。お前はその文化を作るためだけに利用されてんだ」
「元々、そんな文化はなかった、？」
「ああ、何故そんな文化が必要なのか、まだ分からねェ。だがお前という迫害対象を作ることで島民は自分より下が存在することに安心し、反乱が起こりにくくなる。金色は罪であるっつー文化も作れる。
お前はフローレンス家にとって『都合のいい女』だった訳だ」
「トラ男くん！そ、そんな言い方しなくてもいいじゃない！！」
ナミがローを止めようとする
「紛れもない事実だ。ルーツを知りたいと願ったのはテメェだろう」
Aは俯いて黙ったままだ。この場でスーパー！と言って話がまとまればいいのに、とオレは思う他なかった。
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作者名：ヤソップ | 作成日時：2021年2月13日 10時
