8：雨 ページ9
⋆*
寒い…気がする。
ギリギリ講義に間に合ったのはよかった。
でも、どしゃ降りの雨のせいで全身はびしょ濡れ。
バッグもノートもペンケースも、全てがびしょびしょだ。
どうしてちゃんと天気予報を見なかったんだろう、と朝の自分を恨む。
生憎、タオルも持ち合わせていない。
仕方なくハンカチで顔や腕を拭くことしかできなかった。
勉強に必要なものが何もかもびしょ濡れじゃ、
もちろん板書する気も失せるわけで。
「…ﾊｸｼｭﾝ、」
私は後ろの席であるのをいいことに、不貞寝するほかなかった。
⋆*
�爐任蓮△海譴能�わります。��
その教授の言葉で、私は目を覚ます。
…と、同時に襲ってくる激しい頭痛。
「っ、…！」
寝すぎたのかと思ったが、どうやらそうでも無いらしい。
そして感じる、異常な寒気。
体がガタガタと震えて止まらない。
それが風邪だと気づくまでに、少しの時間を要した。
でも、とりあえずここから出ないといけない。
私は震える体に鞭を打ち、なんとか外へ出た。
⋆*
『…い、』
『…い！』
『…おい！』
誰かの声がする。
『大丈夫ですか！？』
体を揺すぶられた感覚がして、私は再び目を覚ます。
…あれ、さっきまで外にいたんじゃなかったっけ。
しかし、そう考えるだけで頭がズキズキと痛む。
何かを考えることはやめにした。
ぼんやりしていてよくは見えないけれど、
ピアスをした男の人が、私に対して必死に何かを言っている。
周りにも人がいるのだろうか、少しざわついている気がした。
『うわ熱っ…』
少し関西弁混じりで話すその人は、
私のおでこを触るなりそう呟く。
『しかもびしょ濡れや…』
『…あ、いや、俺が運びますから！』
えっ、運ぶってなに…？
すると急に、誰かの背中におぶさる感覚がした。
『しんどいかも知らんけど、しっかり捕まっといてくださいね。』
たぶん私にしか聞こえない声で呟くその人は、
そのままどこかへ駆け出していった。
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名無し79835号(プロフ) - あのすいません 続きを作ってくれませんか もっともっと長く わがままですいません (2019年7月11日 17時) (
レス) id: d86651a51e (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 湊さん» コメントありがとうございます！ずっと読んでくださっているのですね…！ありがとうございます！湊さんのようなコメントが物凄く励みになります(；；)これからも頑張ります！ (2019年2月24日 2時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - コメント失礼致します。sgiさんが大好きで、ずっと拝見しておりました!お話の展開にドキドキしてます!これからも、更新頑張ってください!陰ながら応援しております! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 9d74a15048 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 晴さん» コメントありがとうございます！キュンキュンしていただけて、こちらとしては本望です！(笑)言葉遣いには結構気をつけているので、そう言って頂けて嬉しいです。これからもこのお話にお付き合い下さい！ (2019年2月17日 11時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - コメント失礼します！須貝さん大好きなのでいつも見ていてキュンキュンします！笑 言葉遣いが本人っぽくてリアルで好きです！更新楽しみにしています( ´ ▽ ` )ﾉ (2019年2月17日 8時) (レス) id: 6436915ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪 | 作成日時：2019年1月27日 0時
