吸血鬼から逃げろ.【歌い手】

Chapter１ 吸血鬼 ページ4

目を覚ます。

重く怠い意識の中、びっくりするほど冷静に此処は何処かを考えた。






あ、床冷たい。ひんやりしてる。

そうじゃなかった。
此処は、そっか。拉致られたんだっけ。




「…あ、起きたかな」



つん、と背中をつつかれる。

なんだろうか、と(顔だけ)後ろをむけば茶髪のイケメンが不思議そうにこちらを見ていた。


「お目覚めかな？家畜ちゃん」



その後ろからまたもやイケメンが私に言ってくる。

家畜ちゃん、という言葉からお前は何様だよ。
と思ったが周りは男だらけ。

下手したらゲームオーバーなのは目に見えているので黙って寝転がる状態から立ち上がる。



『…何？私を拉致って何が楽しいの？』


「すっご…泣きも怯えもしないよ」

「珍しいね。大抵こんな奴は怯えた後逃げ出すんだけど」



私の発言を珍しげに受け止められる。

その間私は、どうしようかと悩みながら周りの状況を見ていた。



『……じゃあ泣いて怯えて、その後逃げれば逃してもらえるの？』

「なあ、luz。逃がす？」

「そんなわけ」


外は真っ暗。
結構な時間寝てたのか。

どうしようか、今日は土曜でただの部活の筈だったからスマートフォンも持ってない筈。

部活の鞄も取られてるし、あっても使える物はない。




男は今此処に3人。私の目の前に並んでまじまじと私を見ている。

…逃げるか、なんて。



男3人に外は夜。スマートフォンも無いのに逃げようなんて無謀に思うかもしれない。

だけどこれだけは言い切れる。












…家畜ちゃんとか言った奴腹立つから無理にでも逃げ出してやる。

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