一郎が消える話 (ページ13)

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暗雲ページ13

『直ぐにでも入院して手術をしないと…』

そこまで言われれば馬鹿な俺でもすぐに今の状態がどんなに危ないか分かった。

後ろにいた二郎は空いた口が塞がらなく、何も言葉が出ない様子だった。

診察室から出ると明らかに二郎が落ち込んでる。

1｢じろ？大丈夫？｣

俺がそう聞くと、二郎は勢いよく立ち上がって叫んだ。

2｢大丈夫なわけないだろ！！｣

そう言う彼の目からはまた涙が溢れた。

1｢ちょ…ここ病院だから！｣

周りを見ると突然の事に驚いた人達が一斉にこっちを見てる。

そんな中、1人の男が声をかけてきた。

K｢あれ…？三郎くんのお兄さん？｣

少しオドオドした感じで話す子に、俺と二郎は視線を向けた。

1｢あ…かざぽんくん？｣

俺がそう言うと、かざぽんと言われた男はペコッと頭を下げた。

・

1｢はい、コーヒでいいかな？｣

K｢あ、すみません…｣

1｢いいの、いいの、サブちゃんがいつもお世話になってます｣

K｢そんな、こちらこそです…｣

兄2人に緊張してるのかベンチで小さくなるかざぽん君。

その隣では目を腫らした、二郎が無言でコーヒーを啜ってる。

ニコニコしている俺と、明らかに泣いたあとの二郎君。

はそんな2人に挟まれてかざぽん君はきっと困ってるだろう。

先に沈黙を破ったのはかざぽん君からだった。

K｢あの…だ、大丈夫ですか…？｣

そう言ったのは二郎に対して。

2｢……何が｣

二郎はムスッとした態度で小さくなってるかざぽん君をさらに睨んでビビらせる。

1｢じろ！｣

俺がそう言うと、二郎は無言でそっぽを向いた。

1｢…あー…かざぽん君、ごめんね？
いつもはこうじゃないんだけどね…｣

一応、フォローはして俺は二郎を連れて病院を出た。

出る時にコーヒー代を返そうとしてたけど、奢らせてと言って、断った。

あんなに真面目そうな子が三郎と友達で良かった。

でも、隣にいる二郎はまだ不機嫌。

家に帰ったら、まずは二郎のご機嫌取りからだなと思いながら2人で帰路についた。