検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:430 hit

強い人 ページ7

楓達と山田先生を連れて走って玄関に行った。


そこには数人、血を流して倒れていた。


「ってめェ!!!手ェださねェんじゃねェのかよ!!!!!」


「正当防衛って知ってる?わしかなりの怪我させられたからさぁ?だからわしは悪くない!」


「ぐぁ」


相手の鳩尾を軽く捻れば折れそうな細い脚が蹴る。


彼が倒れると同時に彼女はこっちを向いた。


「わしが普通の女のコじゃない事、見ててね」


に、っと可愛らしく笑って向かってくる不良を蹴り落とす。


頭からかなりの血が出て床に血溜まりを作っているのに、どうしてあそこまで動けるのかわからない。


息切れ一つすらしていない。


それから何分かたった頃。


彼女は手で服を叩きながら、


「山田先生、あとはお願いします」


そう言って笑った。


「A、お前…」


「あは。嫌いになっちゃった?まぁ元々好かれてた訳じゃないしね、別にいいけど」


驚きの声を漏らす亜瑚にAはふぅ、と息を吐いた。


「医務室行かないと、!」


「このくらい大丈夫よ?倍の血の量流しても平気だったし」


「、だめ」


泉琉も楓も、勿論俺と亜瑚も物凄く心配していた。


「送っていくから、行こう」


「…はーい」






そこから医務室に行って頭に包帯を巻いてもらっていたけど、その間も痛い、なんて素振りは少しも見せなかった。


「…おい」


「なにー?」


不意に亜瑚が彼女に声をかける。


「……なんで大人とか俺ら男を呼ばないで1人で戦ったんだよ」


「わしにも守れるよ、わしにも出来ることがあるよって、見てほしかったから」


「そんなの、こんな事で証明しなくてもいいだろ、!?」



「わしにはこれしかないの。…出来損ないだからさ」


俺も、他のみんなも、言葉が出なかった。


俺らを置き去りにしたまま彼女は部屋に戻って行った。


一言、

「ありがと」


を残して。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←オトモダチ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 愛され , 逆ハー   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いんく | 作成日時:2020年1月20日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。