強い人 ページ7
楓達と山田先生を連れて走って玄関に行った。
そこには数人、血を流して倒れていた。
「ってめェ!!!手ェださねェんじゃねェのかよ!!!!!」
「正当防衛って知ってる?わしかなりの怪我させられたからさぁ?だからわしは悪くない!」
「ぐぁ」
相手の鳩尾を軽く捻れば折れそうな細い脚が蹴る。
彼が倒れると同時に彼女はこっちを向いた。
「わしが普通の女のコじゃない事、見ててね」
に、っと可愛らしく笑って向かってくる不良を蹴り落とす。
頭からかなりの血が出て床に血溜まりを作っているのに、どうしてあそこまで動けるのかわからない。
息切れ一つすらしていない。
それから何分かたった頃。
彼女は手で服を叩きながら、
「山田先生、あとはお願いします」
そう言って笑った。
「A、お前…」
「あは。嫌いになっちゃった?まぁ元々好かれてた訳じゃないしね、別にいいけど」
驚きの声を漏らす亜瑚にAはふぅ、と息を吐いた。
「医務室行かないと、!」
「このくらい大丈夫よ?倍の血の量流しても平気だったし」
「、だめ」
泉琉も楓も、勿論俺と亜瑚も物凄く心配していた。
「送っていくから、行こう」
「…はーい」
そこから医務室に行って頭に包帯を巻いてもらっていたけど、その間も痛い、なんて素振りは少しも見せなかった。
「…おい」
「なにー?」
不意に亜瑚が彼女に声をかける。
「……なんで大人とか俺ら男を呼ばないで1人で戦ったんだよ」
「わしにも守れるよ、わしにも出来ることがあるよって、見てほしかったから」
「そんなの、こんな事で証明しなくてもいいだろ、!?」
「わしにはこれしかないの。…出来損ないだからさ」
俺も、他のみんなも、言葉が出なかった。
俺らを置き去りにしたまま彼女は部屋に戻って行った。
一言、
「ありがと」
を残して。
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作者名:いんく | 作成日時:2020年1月20日 18時