130杯目 ページ11
三月｢やっぱ、これはAさんが1番似合うから｣
貴｢…ありがと｣
手の中で銀が踊る。その手に、三月くんが自分の手を重ねた。
じんわりと温かくなる。これが人肌なのかな。独り身の私じゃ、逆に恥ずかしくなるくらい初々しい気がする。
三月｢イルカって、幸せを運ぶ使者なんですよね｣
貴｢うん｣
三月｢なら、Aさんがきっと、その使者なんだと思うんです｣
えぇ？思わず笑った。そんなわけないじゃない、と。
トオルちゃんに話した過去は三月くんにも電話で話した。そのことを改めて考えたらしく、そう思った理由を聞く。
三月｢きっと、その、カレも、Aさんが信じてくれるだけで良かったんだと思うんです。そしてオレも、Aさんが信じてくれてたから、立ち直れたとこもあった。だから、最後に幸せをくれたのは、いつだってAさんだったから｣
目の前を大海原が駆けていく。どこか遠くから、鳴き声が聞こえた。
潮の香りと、漣と。いつか2人で交わそうと言った酒と夢。
今、目の前にいるのはもしかして、あの日、夢を諦めてしまった自分だろうかと錯覚する。
貴｢そ…っか…そうなら、いいなぁ｣
遠くに泳げる力がある。だから私はいけるところまで君の元へ泳ごう。
長年の思い出話をビールとともに併せて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そこらへんのストーカーなつめみく - 三月結婚しよう。ていうかこの話凄い大作ですねー！がちで余韻に浸ってるんですよ今。 三月結婚しよう。 (10月6日 15時) (
レス) @page41 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 一気に読んじゃいました。主人公がどんどん輝きを増していく様は好感が持てました。三月君との行方も気になりますが、それは私達は読者の想像次第ということで^^お疲れ様でした！ (2020年6月12日 13時) (レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま - めっちゃおもしろかったです！主人公すごいいい事言ってるし！かっこいいな〜 (2020年3月6日 7時) (レス) id: 649033d606 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：�� | 作成日時：2019年11月17日 22時
