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きゅういち ページ12
貴｢…｣
終業式を終えた帰り道。
目に入ったのは、クリスマスケーキだ。
もし、手作りのケーキを作ったら、切島は喜んでくれるだろうか。
切島『おぉお！すげぇ！ありがとな、糸切！』
って、あいつならきっと笑うはず。
私は近くのスーパーに立ち寄り、ケーキの材料を買った。
家に急ぐ足音の中に、雑音が混ざる。
女の子の叫び声。なんだ。角を覗くと、刃物を持った変質者が女子生徒に向かって振り上げている。
私は材料を手放し、駆け出した。袋から苺のパックが落ちて、地面に転がる。
女子生徒を押す。相手は転んで尻もちをついた。落ちてきた刃先が私の頬を掠める。
貴｢早く逃げろ！早く！！｣
震えている彼女の脚。本能が恐怖に縛られて動けないのか。
私は手を伸ばして女の子を包んだ。気配でわかる、あぁ、死んだな…と、覚悟した。
でも幾分か、あいつらよりは、マシな生き方ができたと思った。
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作者名：�� | 作成日時：2018年10月15日 14時
