あんスタ【世界は動いている】2 (ページ32)

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第70話ページ32

深海｢すぎるさん｣

時は少し前に戻り、放送部の大会の日。

番組の好評を聞き終えた『瀬名宕』は、ビデオカメラの録画終了ボタンを押し、画面を閉じた。

宕｢はい？｣

彼女のストレートな茶髪が揺れ、綺麗な翡翠がこちらを見る。

深海｢すぎるさんは、Aさんと、なかよしなんですよね？｣

宕｢そうですよー！私だけでなく、姉も仲良しなんです｣

屈託のない笑顔に、深海先輩も微笑む。

誰もいなくなった会場に、自分の声は、よく通った。

深海｢すぎるさんは、どうしてAさんが『ばんぐみ』をつくれなくなったのか…ごぞんじありませんか？｣

宕｢え？さぁ？人のことまでわかりませんよ｣

手際よく三脚の脚を縮めてビデオカメラを外し、バッグの中へ入れる。

深海｢きづいたこととか、ないですか？｣

宕｢気づいた事？無いですね｣

肩にバッグの紐をかけて、片腕には三脚を持ち、では。と、横を過ぎ去る時、深海先輩は彼女の手首を掴んで引き止めた。

突然の行動に驚いてスギは目を大きく見開く。

深海｢おねがいします。すこしでも、『わかったこと』とか、ありませんか？｣

宕｢えぇ…そんなこと言われても…あ｣