あんスタ【世界は動いている】2 (ページ4)

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第42話ページ4

次はいよいよ、『UNDEAD』と皇帝率いる『fine』の決戦。

私がライブ会場にたどり着いた時には既に、もうライブは始まっていた。

扉を開けたと同時に広がる輝く世界。

白と黒が混じりあって、紫色の空間に、黒と白の羽が見える。

体全体に響く歌声と、心の芯まで震わせる音楽と、思わず踊り出したくなるダンスと、歓声が、ここを埋め尽くしている。

何もしていないのに、首筋にはじわりと汗が滲んでいた。

観客席にはfineを応援するファンと、UNDEADを応援するファンで溢れかえっている。

人混みを押しのけながら、腰を屈めて指定された席へと向かう。

少し段差になっていて、立ち上がっていればステージはなんとか見える。本当はダメなんだろうけど…みんな立ってるし、いいよね。

私が１度だって踏み出したことない世界を見ている。この世界は、本当にキラキラしていて、すごい。

１個の人間が複数集まれば、違う輝きを放つんだ。才能と才能をぶつかり合って、磨きあって、会場にいるみんなに視線を向ける。

『誰よりも俺を見ろ』と。

羽風薫と目が合った。

うるさかった音は一瞬にして消え去って、彼の表情も、驚いた顔に変わった。来ないと思っていたのだろうか。

こういう時どういう反応をすべきか分からず、私は突っ立てるだけだった。

羽風薫は、私に向かって微笑んで、朔間先輩の肩を叩き、そのまま肩を組んで私に向かってピースサイン。

もしも今ここに、カメラがあれば、この青春の１ページを飾る写真が撮れたのに…。

小さな後悔が、私の心のすぐ横でチクチクと痛んでいる。