33話 ページ34
ころんくんは、私を無理に教室に連れ戻そうとはしなかった。
私を気遣ってか、自分が授業をサボりたいだけなのかはわからないが髪を乾かしてくれてずっとそばにいてくれた。
ここまで世話を焼かせてしまい申し訳ないと思いつつ、心のどこかで嬉しい気持ちがあった。
5時間目終了のチャイムが鳴ったと同時に「ちょっと待ってて」と言って保健室を出ていった。
白いベッドに腰をかけて待っていると、10分ほどでころんくんは帰ってきた。
手には2つのカバンが持たれていた。
こ「あと1時間あるけどサボって帰ろ」
ころんくんはいたずらっ子みたいに歯を見せて笑った。
こ「今日も僕んち泊まっていいよ」
そう言いながら私のカバンを渡してくれる。
「え、わ、悪いよ…」
こ「いいのいいの。気にしないの」
そう言って保健室のドアを開けてくれる。
「あ、ありがとう…」
私は強引だけど嬉しいお誘いに頬を緩ませる。
ころんくんと廊下を歩いていると、私に水をかけてきた3人組に会った。
お互いの動きが一瞬固まる。
そのまま素通りしていいものか戸惑っていると、隣に立っていたころんくんが口を開いた。
こ「お前ら、何してんの」
そのたった2言で彼女達はビクッと肩を揺らして踵を返して走っていった。
「え、え?」
何がおこったかわからずころんくんの顔と彼女達の背中を交互に見つめる。
こ「ちょっと釘刺しといただけだよ。」
ころんくんは苦笑いでそう言った。
釘を刺したという意味はよくわからないが一応安心していいということなんだろう。
私達は再び歩き始めた。
「…仲良くなれると思ったんだけどな…」
私がそう零すところんくんはなぜか悲しそうな目を私に向けてきた。
そして私の頭をグシャッと撫でる。
こ「僕がいんだからいいじゃん」
乱れた髪を整えながらころんくんの顔を見ると、頬を少し赤く染めていた。
心臓はドキドキと音を立てている。
ころんくんがいる…
確かに
それだけでいいかもしれない。
582人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うい(プロフ) - 凄く「今夜、世界からこの恋が消えても」と似てて小説の発売日と照らし合わせたら主さんの方が先にネタ思いついてて腰抜かしました…めちゃくちゃ面白いです😸💞 (2023年2月21日 2時) (レス) id: ed6dd285e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - ころんくんが家に泊めるときになーくんに電話してたときの泊めるの字が止めるになってましたよ 上から目線でごめんなさいm(_ _)m (2022年5月17日 6時) (レス) @page29 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
白玉 - そうです! 一度検索しみて下さい。 (2019年5月5日 11時) (レス) id: 0b503add46 (このIDを非表示/違反報告)
あうら(プロフ) - 白玉さん» テレビか本とかですかね…? (2019年5月4日 21時) (レス) id: 5af2deacde (このIDを非表示/違反報告)
白玉 - これ読んだ瞬間「掟上今日子の備忘録」っていうの思いだした (2019年5月4日 20時) (レス) id: 0b503add46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あうら | 作成日時:2018年10月14日 23時