ひかりふる【鬼舞辻無惨】 (ページ9)

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相乗効果ページ9

鬼？

もしかしたら有り得たかもしれない事態を想像して、わたしは奥歯にぎゅっと力を入れる。

よくわからないけど、最悪の事態からは逃れた？

？？？「…少し待っていろ」

「っ、」

まもなく彼は、思い悩んだような顔をしてすぐに姿を消した。

またなにかされるのだろうか……

わたしはあれから着たままの制服のスカートの裾をぎゅ、と握った。

ーーーーーーー

無惨ｻｲﾄﾞ

何故だ

何故Aは鬼にならなかった

今まで私が血を注いだ人間は全て鬼と化したはずだ

「……」

私は書斎にて、Aが鬼にならなかった原因を突き止めようと悶々としていた。

彼女の、周りとは異なる点。

百年後の未来からやって来たという事。

「！…………もしや」

百年先では、もう鬼が存在していないという事だろうか。
よもや、鬼化という概念さえも塵となって消えたのだろうか？

百年の時差にAの身体が順応出来ていない、という事も考えられる。

……もう少し頭を捻らせてみる。

「…そう言えば、細かったな…とても」

Aの身体は、とても細かった。

余分な脂肪が圧倒的に少なく、
また、筋肉も…生きるための最低限程度。

捕食対象である人間の肉付き度合いは、鬼から見ればすぐわかる。

「！そう言う……事か！」

人間が鬼になるには、それ相応の体力を必要とする。

彼女には、〝それ〟がないのだ。

女を取って喰う童磨がAを喰わずにわざわざ持ち帰ってきた理由もわかった。

あまりにも肉が付いていないAは、

腹の足しにもならない、という事だ。

確かに、私もAを目の前にして食欲は湧かなかった。

童磨は未来から来たAに興味を持ち、ここまで連れて来たまでの事だろう。

更にAを私の元へ預け、

「私からの評価を上げよう……
とか思っていたのだろうな」

何はともかく、Aは……

「虚弱体質と元いた環境の相乗効果で、鬼にはなれないのか………!!」

全てのピースが嵌った。