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理想的な平日夜 ページ46

二人分用意した紅茶が良い色合いになったなら、食卓に運ぶ。



無「頂こう

…! やはりAの淹れる紅茶は美味い」


ティーカップを手に取って紅茶を飲む無惨さんは、さながら有名な画家が描いた絵のような美しさで本当に惚れ惚れしてしまう。


数日前、初めて無惨さんに紅茶を淹れた。

紅茶は小さい頃からよく飲んでいたし、なによりあの落ち着く香りと風味が好きで時間さえあればよく淹れていた。

人に紅茶を淹れる機会はあまりなかったので、褒められると嬉しい。


「えへ……ありがとうございます」


わたしも一口飲む。

うん、けっこう美味しい。


大正時代紅茶はあまり普及していなかったようだけど、無惨さん程にもなれば自由に飲めたらしい。



無「…それはそうとA、腹が減っただろう
何か作ろう」


紅茶を食卓にカツン、と置くと無惨さんは台所へ向かおうとする。

が、迷惑をかけまいとわたしも立ち上がる。


「いえ、大丈夫です!!
わたし、自分で作りますから」


無「遠慮せずとも良いのだぞ」


優しくそう言う無惨さん。

けど、ご飯が食べれない無惨さんにわたしの分だけのご飯を作らせてしまうのは酷な話だとわたしは思う。


「大丈夫です、お気になさらず。
あ、お先にお風呂どうぞ!」

無「良いのか?
では先に失礼するぞ」


わたしがお風呂を催促すれば、彼は風呂場へと足を向けた。


それからわたしはありあわせの食材で軽く晩ご飯を作ってお腹を満たした。


その後わたしもお風呂に入り、支度を済ませて無惨さんの隣の布団に入る。

無惨さんは眠らなくても良いけど、無限城にいた時からいつも隣で寝かしつけるように見守ってくれる。

その安心感と多幸感が堪らなく愛おしい。


無「おやすみ、A」

「おやすみなさい、無惨さん」


新居で寝るのはまだ慣れないけど、明日も学校だし早く寝なきゃいけない。

そう思って、彼の腕の中で静かに瞼を閉じた。

あしたはお楽しみ→←お疲れさん紅茶



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作者名:スイ | 作成日時:2020年1月25日 22時

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