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堕ちる、焦がれる ページ11

時間が経った、と思う程には時間が経った。




ガタッ



「!」




障子が開く。



彼がやって来た。







???「…A」




「は、はい」




名前を呼ばれたので震えつつ答える。




???「元いた時代へ戻る術はわかるのか?」




「…いえ、気付いたらこの時代にいたので」






???「…なら、ここで私と共にいなさい」








「え…!?」






良いのか?



けど、この人はさっき明らかに危なそうな事をしてきた…




…けど、





「…じゃあ、お言葉に甘えさせて頂いても良いですか

わたし、いつ死んでも良いので……」







あ。




気付けば本音が零れた。





明らかに危険そうなこの人の元だ。




いつ死ぬかわからない。



そう勘が言っている。




けど、めちゃくちゃだった今までの人生だ。



何度も死のうとして、結局勇気が出ずに中途半端にまだのこのこと生きている。




気づかないうちにでも殺してくれればもうそれでいいや。






???「…A」




???「私がこんなに興味を持てた人間は、おそらくきみが初めてなんだ」










どういう事だろう。




「わたし…に?

こんな中途半端な、

出来損ないな、

逃げてばかりな、

へなちょこな………わたしに、?」





気付いたらそんな事を言っていた。


同時に涙も零れてきていた。





???「………」



???「これから、未来の色んな話を聞かせてくれ」






そして彼はこう言った。





無「私の名は、鬼舞辻無惨


私は君のような人間を 美しいと思うよ」

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作者名:スイ | 作成日時:2020年1月25日 22時

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