彼氏10 ページ10
テレビをつけると駅伝が放送されていた。熱のこもった実況が耳につく。
「うわ、なんかさ駅伝あるとさ、一気に正月って感じしない？」
「わかる。」
お互いおせちをもぐもぐしながらまったりする。
おせち美味しいし、こたつあったかし、すぐそばには北斗いるしめっちゃ幸せな空間だな〜ってぼんやり考えてた。
「そういえばさ、Aは実家帰るの？」
「私？私は県外だし、帰るのちょっと時間かかるから別にどっちでも…って感じだなー。親にも特に帰ってきなさいとか言われてないし。北斗は？」
「んー…オレはわりと帰れるなら顔見せなさいって感じかな。」
「あっ、そうなんだ。じゃあ帰るの？」
「まあうちの実家ここから近いしね。」
聞けば北斗は高校進学を機に、一家まるまる上京したらしい。
へえ、なんて相槌を打ってたら驚きの提案をされた。
「来る？」
「え？どこに？」
「オレの実家。」
一瞬何を言ってるのか理解できなかった。
「えっ…ええぇ、私なんの準備もしてないよ！？そんな急に言われても…！」
別にそんなかしこまんなくていいでしょ、って北斗は笑うけど、彼氏の親に会うんだったら多少の身なりや手土産に気を遣わないとだよね…ってぐるぐる考えてしまった。
「スマートカジュアルってやつでいいのかな？」
私が口にすると今度は北斗が戸惑う番だった。
「えっスマートカジュアル？」
北斗は数個の指輪をはめた手を顎に当てて、困惑した表情を浮かべている。
「ほら、なんか高級レストランに食べに行くような服装っていうか。ワンピースにパンプスみたいな感じだったら大丈夫かな？」
「なんでも大丈夫だって！」
…
そんなこんなで、結局おせち食べた後は北斗の実家に一緒に行こうって話になった。
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作者名：あん | 作成日時：2023年10月19日 2時
