陰キャヒーローな君と。２ (ページ9)

今日:74 hit、昨日:86 hit、合計:49,105 hit

彼氏9 ページ9

ピンポーン、と甲高い音がした。

時計を見れば時刻は10時35分。そこでハッとした。そういえば北斗くるんだった。

急いで起き上がり玄関のドアを開けると、そこにはやはり北斗がいた。ゆるくパーマがかかった黒髪で、紺色のマフラーを巻いている彼。私と目が合うと優しい笑みを浮かべた。

「あはっ、なにA寝てたの？」

一方の私といえば深い眠りから覚めたばかりで、寝癖をつけたままでメイクすらしてない。

「ごめん…爆睡してた…。」

そう答えると北斗はまた笑う。

「だと思った。だってさ、何回連絡しても全然既読になんないんだもん。」

まあAらしいけどね、なんて付け加えて北斗はうちに上がりこむ。

「これ少しだけどお酒とかおつまみとか買ってきた。」

「え！？そんな良かったのに。ありがとう。」

渡されたビニール袋の中には、アルコール度数が低めのお酒やら小袋のおつまみやらが数点入っていた。

「私はね、実はおせち用意したよ。〇〇店ってとこの。」

えへへ、と得意げに言ってみせた。
ちょっとしたサプライズのつもり。

「ええマジ？めっちゃ嬉しいんだけど。」

顔がほころぶ北斗に私まで笑顔になる。
北斗の喜ぶ顔が好き。きっと私は北斗の笑顔のためなら多少の自己犠牲もしてしまう気がする。

それから2人でコタツに座って、一緒におせちを食べた。