陰キャヒーローな君と。２ (ページ44)

今日:23 hit、昨日:86 hit、合計:49,054 hit

ホワイトデー4 ページ44

涙もおさまったところで、電気をつけてカーテンを閉めた。

北斗がそうだ、って思い出したように自身が持ってきた紙袋の中を探った。

そして手渡された。

「え…？」

手渡されたのは青いバラの花束。

「なに急に…くれるの？」

急なことに戸惑いを隠せなかった。

「今日ホワイトデーじゃん。バレンタインのお返し。」

北斗が照れくさそうに言う。
あ、そっか今日3月14日ってホワイトデーか、なんて今更思い出す。

「え〜嬉しい…男の人に花もらったの初めてなんだけど、、、しかも青いバラ初めて見た。すごくキレイ。」

北斗のことだから色々色々考えた上でこの花を選んでくれたんだろうなって勝手に想像しちゃってまた泣きそうになった。

「ね、そうすごいキレイだよね。オレさ、仕事で青いバラの花束もらって珍しいしキレイだな〜って感動しちゃって。だからAにもあげたいなって思ったんだよね。あと花だったら、ずっとあるものじゃないから場所も取らないでしょ。」

ほら、やっぱり。これあげときゃいいだろみたいな考え方じゃなくて、ちゃんと私のこと考えてくれたんだ。普段1秒でも北斗が私のことを考えてくれている時間があるのだと思うと嬉しくなる。

「今日ね、本当はオレが家で料理作ってAに振る舞おうと思ってたのよ。ちょっと部屋を飾りつけなんかして。あ、あれね、飾りつけっていっても本当にちょっとね。」

「そうだったんだ…ありがとう北斗。」

私がお礼を言うと、へへ、ってまた照れくさそうな顔して北斗は笑うんだ。

いつまでこの幸せが続くのかは到底わからないけれど、今はただこの幸せを抱きしめていたい。そう思ったホワイトデーの夜。