陰キャヒーローな君と。２ (ページ41)

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ホワイトデー。ページ41

3月14日はうちにおいでよ、って北斗が言ってくれた。

仕事終わりになっちゃうんだけどいい？って言ったら、全然遅くても待つよ、って返してもらえた。

だからこの日を楽しみに毎日仕事をがんばっていたのに。

“ごめん、今日北斗の家行けない“

なんでこんな日に限って熱が出てしまうのだろう。
仕事を頑張りすぎて疲れがたまったのか、はたまた季節の変わり目だからなのか。

熱で頭が回らない中、やっとの思いでスマホに文章を打ち込む。任務完了の達成感に満たされた私はベッドに倒れ込んで、深く息を吸う。

意識を失いかけたそのとき、ピコンと着信音がきこえて、表示されたのは今会いたくて仕方ない人の名前。

“どうした？気分じゃなくなった？“

何かあったのかと心配してくれている北斗。
気分じゃなくなったなんてとんでもない。熱がなかったら今すぐにもとんでいきたいくらい好きなのに。

今までの私なら仕事が忙しくて今日は無理そう、なんて返していたかもしれない。でも、今の私は違う。この前北斗と話したから。話したいことを話したいときに話せる関係になりたいね、って。

“ねつでた“

文字を変換するのすらわずらわしくて、ひらがなで送信する。

正直に体調が悪いことを伝えたら、きっと後日にしようと納得してくれるはずだ。そう自分に言い聞かせて、今度は本当に意識を手放した。