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嫉妬7 ページ38
不意に肩を強引に持ち上げられて、唇を重ねられた。驚きのあまり、涙がとまる。急なことに息ができなくなって、苦しくなる。
いつもなら、私の様子を伺って無理はさせないようにするのに今回は違った。
角度を変えて何度も何度も降ってくる愛情にめまいすらした。左頬に添えられた手は優しくも絶対に離さないという意思を感じさせる。親指は、再び私の涙の足跡をなぞっていた。
どれくらい時間が経っただろうか。
北斗が静かに体を離して、私の目を見つめてきた。
「…これでわかった？Aが大切だって。」
「……」
北斗の瞳は暗くて、本当はこんなことしたくなかった、って物語っていた。私はなんてことをしてしまったのだろう。
「…ほくと」
「ん？」
「ごめんね。」
「いいよ。」
クシャって笑って許される安心感と罪悪感で胸がいっぱいになる。北斗がポンポン、と頭に手を添える。
きっと北斗はお見通しなのだ。私がないものねだりなこと。
「もうこんなこと言わないから、嫌いにならないでね。これからはもっと、ちゃんと、自分の気持ち抑えるから。」
こんなわがままを言っておきながら、嫌われたくないと思ってしまう。
「嫌いになんてならないよ。」
それにね、って北斗が続ける。
「オレだって嫉妬したことあるんだから。」
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作者名：あん | 作成日時：2023年10月19日 2時
