陰キャヒーローな君と。２ (ページ37)

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嫉妬6 ページ37

「気持ち悪くないよ。オレさ、昔から大事なものはしまい込むタイプなんだよね。」

「え…？」

「好きなシールとか、特にお気に入りのやつは壊さないように、なくさないように、絶対大切にしまい込むタイプ。」

北斗が小さく笑う。
この時初めてやっと北斗の目を見ることができた。北斗は優しい顔をしていた。

「Aのこと、大切なのよ。だから乱暴なことしたくない。本能的じゃなくて理性でAと向き合いたいの。」

相変わらず視界は涙でぼやけているけれど、北斗が真剣な表情で伝えてくれるのがわかった。

「私が魅力的じゃないからでしょ…？」

それでも、私はどこまでもめんどくさい女で、否定してくれている北斗に言い返す。

「だからね？A？違うんだよ？オレはAが好きなの。あれはドラマ。」

わかってるよ。わかってる。わかってるけど、悲しいし悔しいの。他の人がされていることを私がされないのはなんか嫌なの。

子どもがおもちゃを欲しがるみたいに駄々をこねる姿に我ながら呆れてしまう。

小さい頃、まわりの子が持っているおもちゃ、本当は私も欲しかった。一緒に遊んでみたかった。泣いて、ぐわんぐわんしている頭の中で、遠い記憶が蘇ってきた。こんな記憶、こんな感情、北斗には関係ないのに、押し付けてしまっている自分がいる。

北斗の全部がほしい。全部じゃなくてもいい。せめて他の人にあげたものは全て私にもほしいの。

涙が止まらなくて、俯いて肩を揺らす。もうどうしようもない感情でわけがわからなくなる。

その時だった。