陰キャヒーローな君と。２ (ページ35)

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嫉妬4 ページ35

当たり前だけど、私と北斗は立場が違うわけで。同じ芸能人同士ならまだしも一般人に新しい仕事のこと言えるわけないよね、とか言われたら言われたで困るけど…とかぐるぐる考える。

「…」

「…」

「Aさ、今日体調悪い？」

北斗がふいに顔を覗き込んでくる。
相変わらず私は北斗の目を見て離せない。

「そんなことないよ？」

「嘘だ。なんか元気ないよね？…オレもう今日帰ろうか？オレいても邪魔だよね。」

北斗がまだ熱いはずのココアを一気に飲もうとマグカップを傾ける。

「…」

どうしてこう上手くいかないんだろうって胸が苦しくなって視界がぼやけた。気づいたら私は俯いてしまっていた。

「…A？」

私が何も言わないから、また北斗が顔を覗き込んできた。

「え、A…？どうしたのよ。」

目に涙がたまってしまった私に北斗が困惑しているのがわかる。私の髪を優しくかき分けてくる。

「…ごめん、なんでもない。」

「そんなことないでしょうよ。あー…あれ？オレがなんの映画出るの言わなかったから？別にAにだけじゃないよ？オレの場合、メンバーとか家族にも言ってないからね？」

まるで小さい子どもをあやすように優しく語りかけてくる。

「あ、それともさっきのクッキー？ごめん、オレの言い方キツかった？」

「ううん…なんにも北斗は悪くないの。私が勝手に……私の問題だから」

弁明しようとしても涙は止まらない。北斗が指先で私の頬を撫でて涙をぬぐってくれている。

「嫉妬しちゃったの……」

私の「嫉妬」というワードに北斗の手がとまる。