バレンタイン9 ページ31
それから2人でいろんな話をした。
SixTONESの撮影が面白かった話とか、北斗の最近の推し活事情とか、ゴルフにハマりつつある話とかを聞かせてくれた。
私は私で最近のお仕事の話とか、友達と遊んだときの話をしたりなんかして、話題が尽きない。
でも、北斗も私も明日仕事なので、いつまでもゆっくりしていられない。
「名残惜しいけど、そろそろ北斗帰らないとだよね？」
「そうね。時間も時間だし。」
2人で同時に壁時計を見上げる。
このまま一緒に居れたらどれだけ幸せなのだろうと夢のようなことを考えてしまう。
「次会えるのはーーー、ってオレあれだ。もうすぐツアーはじまる。」
北斗がスマホでスケジュールをチェックしながら言う。
「あっ、そうじゃん。開催おめでとう。」
「ありがとう…んー、Aも呼べたら良かったんだけどね。いかんせん関係者席にも限りがあってね。親しか呼べてない。」
スマホを見つめる瞳は寂しげだった。
「……あの、北斗さん。」
「ん？」
「ごめん…言い忘れてたんだけど…そのー、私、実はチケット当ててます…」
「え！！！？」
「東京公演オーラス参戦します。」
「ちょっと早く言いなさいよ、あなた。」
興奮した様子の北斗に肩を掴まれる。
「ごめん！普通に言うの忘れてた。ライブしてる北斗に会いたくて申し込んでみたの。
ちなみにいうとアルバムも買ってる。でも最近、特典カードの上にCD落として北斗のほっぺに凸凹できちゃった。ごめんね。」
「なんの話よ！カードが傷ついたの！？」
笑いがとまらない様子の北斗。
「CD整理してたらよりによってカードの上に落ちゃったの…」
「いいよ！いや、良かないけど！」
当選した私より喜んでるんじゃ？ってレベルでテンション上がってる北斗に私まで笑顔になる。
「オーラスまで走り抜けてね。」
「そりゃあもう、まかせなさいよ。あー、ほんと今日、最高のバレンタインだわ。ありがとう。」
そう言って優しく抱きしめられる。
チョコレートを喜んでもらえて、ツアーチケット当選もこんなに喜んでもらえて、むしろこっちがありがとうだよ。
北斗、大好き。
背中に手を回して心の中でそっと呟いた。
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作者名：あん | 作成日時：2023年10月19日 2時
