陰キャヒーローな君と。２ (ページ21)

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疑惑5 ページ21

記事のことを否定してもらえて、一気に安堵した。

私の呼吸が落ち着いたのを確認したのち北斗がタクシーで送ってくれることになった。

「北斗もタクシー乗るの？」

「話し足りないんだからいいじゃない。」

「また熱愛記事撮られて大変なことになるよ。」

「いいよ。むしろAとの記事だったら載りたいくらい。」

いや、それはプロとしてアレだけども、とかブツブツなんか言ってる。

そして2人でタクシーに乗り込む。
酔いはさめたとはいえ、眠気はあって北斗の肩に頭をのせる。

北斗はそれを振り払おうとしない。絶対重いはずなのに。そういう些細な行動ひとつひとつに北斗の愛が含まれている気がする。

暴走してしまったけど、私ってちゃんと愛されてたんだと実感した。

タクシーの中では、今回の熱愛記事による苦労話を聞かされた。

まとめると…

熱愛報道の事実確認される
↓
私のことだと思い否定しなかった
↓
北斗の事務所は仲良くさせていただいていることを文章で出す
↓
一方お相手の女優さんは本命彼氏さんとの熱愛写真も激写されてしまう
↓
女優さんが二股していたかのような報道が出る
↓
SNSが荒れる

という流れらしい。

「それでSNSでさ、『松村北斗遊ばれててどこまでも不憫』とか書かれてんの。ちがうよ！って言いたけどお付き合いしてる人は他にいますとも言えないじゃない。

それに女優さんもオレのせいで叩かれてるし、もうどうしようね、これ。って感じで。」

はあ、ってため息をついて北斗は手で顔を覆う。

ついでにいうと女優さんには事務所を通して謝罪しているけれど、人気にも関わることなので向こうの事務所はあまり良い反応ではないらしい。

私が思ってたよりも事態は深刻なようだった。そこへ酔っ払った私が突撃したわけだから、たまったもんじゃないだろうな、と容易に想像できる。

混乱していたとはいえ北斗には申し訳ないことをしたな。できることなら北斗からアクションがあるまで待ってあげたかった。