陰キャヒーローな君と。２ (ページ16)

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帰り道2 ページ16

「ごめんね、気づかずに話しかけちゃって。」

せっかくファンの子とやりとりをしていたのに、私が間に入ってしまって申し訳なさ感じる。

「は、なんでAが謝るのさ。むしろオレが謝んないとでしょ。」

「？？なにが…？」

「友人とか言ってさ。彼女なのに。」

「北斗はアイドルだからそれで正解なんだよ。それでいいの。それより、これ。」

そう言って先程コンビニで買ったお茶を手渡す。

「なに？お茶くれんの？」

「冬だからやっぱり寒いしね。」

「まあそりゃそうでしょうよ。」

北斗はチラリをこちらを見た後、しょうがないなと言いたげに自身のマフラーとって私に巻いてくれた。

「え！北斗！？ごめんね！そんなつもりじゃなかったんだよ！？」

「お茶のお礼。」

「ええ…じゃあ、ありがと。」

「いーえ。」

なにも温めてほしくて寒いと言ったわけじゃなかった。それなのにマフラーを巻いてもらえて、なんだかむずかゆい。嬉しいような恥ずかしいような、そんな感覚。

大きくて、少し年季の入った紺色のマフラー。どことなく北斗の匂いがする。

2人で手を繋ぐことはできないけど、これでいいんだ。これが私達のカタチなんだ。

マフラーに埋もれた口元が緩んでいるのを、きっと北斗は知らない。