ご両親4 ページ14
北斗と隣同士で席に着くと、北斗のお父さんが最近仕事はどうだ、と切り出してきた。
「んー、そうね、最近っていうかずっとそうなんだけど、やっぱり演技の仕事が多いかな。まあ充実してるよ。」
上を見て考えながら話す北斗を、優しいまなざしで見つめるお父さん。それだけで、北斗がどれだけ両親に愛されてきたのか、どれだけ大切に育てられてきたのかがわかってしまった。
コトン、と温かい緑茶を置いてくれるお母さん。
ありがとうございます、と小さく言い、会釈するとニコリと笑ってくれた。
「もうね、こんな感じだけど、この人ほくちゃんが帰ってくるってなったらずっとソワソワしてたのよ。しかも彼女連れてくるなんて言うから余計緊張しちゃって。」
笑いながら北斗のお母さんも席に着く。
「なにせ彼女連れてくるなんて初めてだもんね。なに、ほくちゃん結婚するの。」
さらりとだした“結婚”というワードに、お茶を口にした北斗のお父さんがむせる。
「いや、そこまでは話進んでないよ。付き合いだしたのもついこの前だし。」
ゴホゴホしてるお父さんとは対照的に意外と冷静な北斗が答える。
「そうなの？ここに連れてくるなんて言い出すから結婚するのかと思った。」
「どうせ家帰るなら紹介しとこうと思って。」
「そうなのね。でも良かった。素敵な彼女さんね。」
終始ニコニコな北斗のお母さん。
お母さんいわく、歳をとると顔を見ただけでどんな人物かなんとなくわかるらしい。
「ほくちゃんのことこれからもよろしくね。」
「あっ…いえこちらこそ。」
緊張したけど、北斗の両親には嫌われなかったようで安心した。その後は4人でどら焼きを食べながら色んな話をして、帰路についた。
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作者名：あん | 作成日時：2023年10月19日 2時
