彼氏2 ページ2
とりあえず汗と雪でぐちゃぐちゃになった北斗にはお風呂に入ってもらうことにした。
その間に私はクローゼットやらタンスの中やらを探し回って、ようやく北斗が着られそうなサイズの服を見つけた。
以前にネット通販で一目惚れして購入したものの、いざ手元に届いたら大きすぎた服。デザインは気に入ってるので捨てられなかった服が役に立つ日が来るとは思わなかった。
そんな服を着た北斗がお風呂から上がってきた。私にとって大きい服も北斗にはピッタリのようで改めて体格差を感じる。
「なんか北斗ほくほくしてるね。」
「それどういうこと笑
北斗だけに、みたいな？」
「……あっ、うん、そうだね？」
「ちょ、なにそれオレが恥ずかしいんだけど。」
「いや別にそういう意味じゃなかったから」
ケタケタ笑うと、なによ、って感じのじと目で北斗がこっちを見る。
「まあまあ、そう怒らないで北斗さん。ここ座んなよ。」
そう言ってポンポン、とソファの隣に招くと、北斗は大人しく席についた。唇とがらせていじけている。かわいい。
近くにあったリモコンを手に持ち、テレビをつける。深夜にも関わらずクリスマスということもあってか騒がしいバラエティ番組が放送されている。
顔が整った俳優さんがゲストで天然発言をして、それに芸人の司会者がツッコミをいれて大爆笑の渦が起こる。つられて私もクスリと笑うと肩が重くなるのを感じた。
「…北斗？」
北斗が私の肩に頭を乗せて寄りかかっている。
「Aはさ、こういう人が好きなの？」
「え？どういうこと？この司会者の人？」
「んなわけないじゃん。この俳優の人。」
「えぇ…どうだろ、まあカッコいいけど、よくこの人のこと知らないし…。」
「ふーん。」
「…もしかして嫉妬？」
「ちがうよ！！！」
ガバッと顔を上げて私の方を見る。勢いが良すぎて髪が乱れてる。
「そっか。」
私が小さく言って視線をテレビに戻すと、北斗の声がした。
「嘘。オレだけを見て。」
ゆっくり視線を北斗にやると、北斗が熱のこもった目で私を見つめていた。時が止まった気がした。
「オレだけを見てよ。他のヤツなんて見ないで。」
そう言って優しく抱きしめられた。
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作者名：あん | 作成日時：2023年10月19日 2時
