ミン ユンギの苦悩

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きゅ、きゅっ、とシューズが擦れる音と
ポタポタと流れ落ちる汗の音は割と嫌いじゃない。


カムバックに向けたダンスの
練習も終盤を迎え、曲の微調整も終了している。

armyの反応が楽しみだ。



｢よーし、10分休憩だ。水分取っとけよ〜｣



先生の声と共に、
俺を含めたダンスラインが床に倒れ込む。
酸素が足りてないのか肺が少し痛い。

3曲同じ曲ぶっ通しは流石にきちぃ。
そんなことをぼんやり思った。



JN｢あっつぅ！！汗、やばいっ、｣

HS｢やー、ジニヒョンだらしないですね！｣

JN｢俺はっ、歌、と、顔がメインなのぉ！！｣

JK｢何言ってんのこのヒョン｣

JM｢さぁ？｣



ジニヒョン達の茶番を横目に俺はスマホを開く。

疲れた時はもちろんこれだ。
Aコレクション、No.3009。


練習生として、必死に頑張っている
Aの横顔の写真だ。

盗撮ではない。
Aが知らないだけで、盗撮ではない。



寝転がりながらAで癒されていると
ふと顔に大きな影がかかった。



JN｢何見てるの？｣

YG｢……ジニヒョンには関係ないもの｣

JN｢ほぉ、ヒョンに向かってそんなこと言うんだ？
…………ねぇ！みんな！ユンギがさぁ！｣

YG｢やかましい｣

JN｢いっ！だぁあああ！すね蹴ったな！！！｣



よからぬ事を言おうとするのが悪い。

他のメンバーはまたジニヒョンが
やらかしてるなぁぐらいなのか
特に反応しないまま個々で休憩している。


それでこそ俺の弟達だ。


俺が苦悩を日々抱えていることを
知っているのは同室のジニヒョンだけ。


本当は墓場まで持っていく予定だったけど
Aについて語りたかったし
たまたま都合よくいたからバラした。


特にジニヒョンだからって理由はない。



YG｢うぜぇ｣

JN｢やー！ヒョンに向かって！！｣

YG｢唾飛んだんですけど｣

JN｢え、普通にごめん｣



まぁ、何だかんだ口は堅いし
ジニヒョンは安牌だったかなとも感じる。

別にナムとかホソガとかでも良かったけど。

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