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揃いも揃って頭を下げる幹部にオレも頭を下げるが、彼女は机に向かったまま。




「そんなに畏るなよみんな!」




にこりと笑う稀咲に呆然とする。
これが稀咲?なんか別人みたいに見えるんですけど。オレが知ってる稀咲とは違いすぎる。




「幹部会に顔出すなんて珍しいですね、稀咲さん」

「ちょっと野暮用でな。それと、A」




呼ばれた彼女は煙草に火を着けながら稀咲を見る。




「まだ俺の事が嫌いか」

『はっ!嫌いも何も、ハナからあんたの事なんか眼中にねぇよ』




煙を吐き出しそう言う彼女に、場の空気が凍った。




『いい稀咲。私は皆んなと違って東卍に命預けた訳じゃないんだよ。

私が命預けたのはマイキー、ただ1人』




そう言い放った途端向けられる銃口。自分が向けられている訳じゃないのにひゅっと喉が鳴る。
対して彼女は面白そうに銃口を眺めていた。




「お前の口からその名を出すな」

『嫉妬が激しー男は嫌われるよ?第一あんたは私を殺せないでしょ』




そうすればあんたも死ぬもんねー。
と、カフェの新作でも話すかのように軽く言う彼女。背筋に冷たい汗が落ちる。




「口を慎め」

『…つまんな。帰るわ』




興味を無くしたように、彼女は席を立つと稀咲の真横を通り過ぎて出て行った。場は凍ったまま。

突然火傷痕の男とその横の男が立ち上がり頭を下げる。




「…申し訳ありません稀咲さん。聞き分けの悪い妹で…」

「いや、いい。俺も悪かった」




先程の怒りを纏った雰囲気とは一変、穏やかな笑みを浮かべる稀咲はやはり別人のようだ。
それに…妹?




「本題に入ろう。
タケミチ、千冬。ちょっと時間くれないか?」




自分に話が飛んだ事に驚きつつ返事をし稀咲に着いて行く。


その後は、…思い出したくもない。

千冬は殺され、血のハロウィン戦以来の再会をした一虎くんについて行けば、ずっと支えてくれていた筈のナオトに捕まった。
そして連れて行かれ見せられた映像は、あまりにも受け入れがたいものだった。




「オレが、ヒナを……殺したんだなぁ…」




慰めようとするナオトに、ただ怒鳴り返すしか出来ない。何度戻っても変わらない。




「東卍を変えれるのも、姉さんも救えるのも君だけなんです!!

最悪の未来を変えてください、タケミチ君!」




ナオトはオレの肩を掴んでそう叫ぶ。
そうだ…オレ、何甘えてたんだ。

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沙羅楓(プロフ) - とってもこのお話好きなんですけど、もう更新しませんか?更新してもらえたら嬉しいです!! (2021年9月6日 21時) (レス) id: 00281eed20 (このIDを非表示/違反報告)
ファナ(プロフ) - 蛙パーカーさん» 了解ですー!高確率でピンクシーン出す人間なので気を付けます( ˙-˙ ) (2021年8月3日 18時) (レス) id: 9cecc5311f (このIDを非表示/違反報告)
蛙パーカー - もし、ピンクシーン有るんだったら、目次の所に※じとかのマークお願いしたいっす!これからも応援してますっす! (2021年8月3日 15時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ファナ | 作成日時:2021年6月19日 11時

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