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告白(あらきさん) ページ6

○体育祭(先輩後輩)

「「あらき先輩!頑張ってくださーい♡」」
「ありがと〜!」
「「キャー♡」」

偶然にも同じチームになった先輩。周りの女子生徒から黄色い歓声を貰ってちゃんと「ありがとう」なんて返している。
律儀なんだかチャラいんだか知らないが、そういうとこがモテるんだろう。

⦅まぁ、私も好きだから人の事どうこう言えないんだけど⦆

先輩達3年生は今から借り物競争がある。
漫画でよくあるような「好きな人」がお題に入っているらしいが、噂はあくまで噂だ。
リアリストな私からしてみれば、そんなプライベートを暴くような体育祭って普通に嫌だろう。
仮に入っていても何人もの生徒が参加する中で、あらき先輩がそのお題を引く可能性は低い。
よって噂も噂、夢のまた夢ということで私の中では完結させた。

パーンッと子気味の良い音が鳴って一斉に走り出す。1番にお題箱に辿り着いたのはやはりあらき先輩。
お題を引いて取り出して数秒。頭を抱えてしゃがみ込む。
「あ〜…う〜…」という呻き声が聞こえたかと思うと、意を決したように先輩がすっと立ち上がり、ダッシュでテントに戻って来る。ん?戻って来る?

「Aちゃん!」
『!?』
「何か私物を貸してください!」
『はい!?え、え?あ、ハンカチで良ければ…』
「ありがと!!」

ポケットからハンカチを出して手渡すと、ものすごい勢いでゴールまで走って行った。



【ではでは、全員ゴールしましたのでお題の発表です!1位でゴールした方!名前とお題を発表してください!】
「あらきです。えっとお題は…「好きな人の私物」…です」

グラウンドがザワつく。テント内からは鋭い視線を向けられる。ヒェッ
スピーカーから聞こえるスゥッ息を吸う音で再び視線が外れる。

「Aさん!好きです!俺と付き合ってください!」

髪と同じぐらい真っ赤になった顔で、でも真剣に私のいる方を見つめる彼。
正直周りの視線が痛いから断りたい。けどそれは先輩に恥をかかせてしまうし、何より自分の気持ちに嘘をつきたくない。
いつの間にか隣に来ていた司会の人が、強制的にマイクを渡してきた。腹を括って先輩の勇気に答える。

『私も!先輩のことが好きです!こちらこそ、よろしくお願いします!』

グラウンド中からワァッと歓声が上がる。
テント内は阿鼻叫喚。

「ありがとう」

リアリストな私でも、本当に夢なんじゃないかと疑ってしまう幸せな時間と言葉。
夢じゃないと確信するまで、後…分。

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作者名:Lei | 作成日時:2021年4月23日 16時

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