45話 ページ46
「Aッ!?」
焦ったように私の名前を呼ぶママの声、
そして
「……A」
全く変わってない
優しくて、少し声の低い、落ち着く声
ママと一緒に居た青いミサンガを着けた人は、私のパパだ。
そのミサンガは私が作ってプレゼントしたもので、あげた日からずっと付けてくれていた
「なんで、居るの?パパ……」
「ッ!!!……Aが、ここに入院したと聞いて……」
「だから……家族じゃなくなったくせにお見舞いに来たって言うの??」
「おいA、言い方」
場地君にそう注意されるがどうしても1度開いてしまった口を塞ぐことが出来なかった
「離婚して、私達を残して出ていった癖に、そんな簡単に会いに来れるの?」
「ッ……」
「ねぇ、何とか言ったらどうなの」
「やめなさいAッ」
今度はママが止めて来た、少し鼻の詰まった声で
「やめてッA……違うのッ、パパが私たちのそばを離れたのはッ……」
「知ってるよ……病気の治療法を探しに海外に行くためなんでしょ……ッ知ってるよ!!」
本当は全部、知ってた。
ママは「どうしてそれを……」と小さな声で言ってきた
パパの実家は……代々から続く由緒正しき家柄で、厳しい掟が沢山あった。
全く身分の違う、なんなら外国の血が入っているママとの結婚を実家は良しとしていなかった。
そんな所に私が生まれ、病気を知った。
パパはへとへとになるまで全国の医者を探し回ってくれたが日本には治療法は無く、海外に探しに行こうとしていた
けれどパパの実家は、結婚している状態での海外出発は許さなかった。
行きたければ離縁していけと……
何度も何度もパパは反論してきたけど、全く聞く耳を持たない実家の人達
だから、2人は離婚した。
私のこの治らない病気を治そうと、治療法を海外で探すために。
パパ達は私に知られないようにってやってたみたいだけど……離婚する前の日に、この話を聞いて本当に苦しかった
本当に愛し合っていた2人を引き剥がしてしまった
「病気が治るとか、そんなのいいよ。
なんで一緒に居てくれないの?
私はずっと2人がそばに居てくれるだけで良かっただけッ!!!
わかってよぉ!」
そこまで言ったところで懐かしい重みに包まれた
久しぶりのパパだ、
もう匂いも顔も温かみも分からないけど
「ごめんなぁ……Aッ、寂しい思いさせたなぁ」
「馬鹿パパぁ!」
「ごめんねA」
「ママッ!」
やっと家族3人戻った……
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炭子(プロフ) - かえる38さん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!!!この作品で感動してくれた事が私はとても嬉しいです!その言葉で書いてよかったと思えます。ありがとうございました! (2021年8月11日 23時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
かえる38(プロフ) - とっても素敵なお話でした! 心が暖まって、泣けてきて……。無料で読んじゃっていいんですか!?、ってレベルのクオリティで本当に感動しました。素敵なお話を書いてくださってありがとうございます!読んでて凄い楽しかったですっ!!! (2021年8月9日 14時) (レス) id: dc610bcb00 (このIDを非表示/違反報告)
炭子(プロフ) - カメ豆腐さん» この作品で泣いてくださってありがとうございます!!続編、楽しみにしててください笑 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
炭子(プロフ) - はるるさん» この作品で胸いっぱいにできてとても嬉しいです!!お優しいっ!!はるる様も体調崩さぬよう、健康を願っています!!長文ありがとうございました!!また続編もよければ見てくださいね! (2021年8月8日 2時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
カメ豆腐(プロフ) - ガチで泣いちゃいました!続編楽しみにしてます!! (2021年8月8日 1時) (レス) id: 78458b5353 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭子 | 作成日時:2021年7月9日 7時